「自分がダメだという自覚のない人」が思考停止する理由

連載『問題発見力を鍛える』vol.5
細谷 功 プロフィール

問題発見の第一歩は「無知の知」

ここまでの議論を前回解説した「3つの領域」(①問題も答えもある、②問題はあるが答えがない、③問題も答えもない)と対応させてみると、以下の図のように前回提示した「安定の時代」と「VUCAの時代」の関係と同様になります。

「無知の無知」の世界観とは、自分には「未知の未知」はないというスタンスであるのに対して、「無知の知」の世界観とは、自分には膨大な「未知の未知」があるという基本的スタンスをとることを意味します。

また、無知の無知の世界観での最大関心領域は(そもそも「未知の未知」の領域は意識していないので)「既知の未知」であるのに対して、無知の知の世界観で一番大きいと認識しているのが「未知の未知」の領域です。

 

問題発見とは、このような「未知の未知」の領域を常に意識した上でそれを「既知の未知」(=新たな問題)に変えていくことなので、そもそもの世界観が「無知の知」であることがスタートポイントになります。

「未知の未知」の領域を常に意識しているか、そもそもこういう領域はないと思っているかの違いは、日常において「自分の理解できないもの」を見たときの反応の違いとなって現れます。

「未知の未知」を意識している人は、自分の理解できないものを見るとそこで思考回路が起動して「何か自分に見えていないことがあるのではないか?」と疑って新たな問題を見つけようというモードに入ります。

これに対して、意識していない人というのは(そもそもそういう世界は存在してはいけないので)それを否定してかかり、「間違っている」という判断を下すことで思考停止に陥ってしまうのです。

次回はこの構図を用いて、さらに問題発見のメカニズムを具体的に表現していきます。

その一つの例として、考えてみて下さい。皆さんは自分の話を聞きながらスマホをいじり始めた人を見てどう思うでしょうか?