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東京五輪の巨大すぎる「延期コスト」…損失は「兆単位」を覚悟せよ

「巨額先行投資」だと思ったほうがいい

東京オリンピックが2021年7月に延期されることが決まった。延期もしくは中止になることを前提に動いていた企業も多いので、今回の決定に対する大きな驚きはないだろう。ただ、中止という最悪の事態は回避されたものの、延期による損失は極めて大きく、純粋に経済的な観点では中止に匹敵する可能性すらある。

オリンピック後にもたらされる、レガシー(五輪開催をきっかけにもたらされる持続的な効果)を確保するため、巨額の先行投資をするというくらいの覚悟が必要だ。

新国立競技場〔PHOTO〕Gettyimages

直接的な追加コストは約3000億円

安倍首相は2020年3月24日、IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長と電話会談を行い、東京オリンピック・パラリンピックの開催延期を提案した。バッハ氏もこれに応じ、1年程度の延期が決定した。1年程度という期間については、半年ではコロナウイルスの感染が終息しない可能性が高く、2年では選手をはじめ、関係者の負担が大きいとの理由で選択されたといわれる(その後、正式に2021年7月23日開幕と決定)。

中止という最悪の事態を回避できたことを考えれば、とりあえず胸をなで下ろした人も多いはずだが、経済的に見た場合、延期であってもコストはかなり大きい。

大会が延期された場合、競技会場を借り換えたり、関係者が宿泊するホテルについても再度、確保する必要が出てくる。組織委員会は来年まで継続となるので、人件費もその分だけ増えることになるだろう。

東京・晴海に建設中の選手村は、五輪終了後、マンションとして分譲される予定となっており、すでに買い手も決まっている。納入には時間的余裕があるが、期限までに引き渡せない場合、違約金などの追加コストが発生する可能性もある。

 

こうした延期による直接的なコスト負担は現時点では3000億円程度と見込まれている。東京オリンピックの大会開催経費は1兆3500億円程度なので、追加負担が3000億円で済むのなら、それほど大きなコストとはいえない。ただ、想定外の支出に備える予備費は270億円しかないので、超過分については誰かが負担する必要が出てくる。