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大蔵省の「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」いまだからウラ話を明かそう!

銀行はあれから「安泰」ではなくなった
小野 一起, 高橋 洋一 プロフィール

接待の数と金額

小野 それは危なかったですね。省内調査を参考にしながら検察が、接待の数や金額なども考慮して、逮捕まで踏み切るかを判断していたということでしょうか。

高橋 その辺の特捜部の基準は、よく分からないですね。ただ、あの時は、特捜部の狙いは証券局長だと思われていた。だから彼は気楽な気持ちで特捜部に行って事情聴取を受けたのに、帰ってこなかった。『ちょっと行ってきます』って感じで、机の上もそのままだった。かなり衝撃的でしたよ。

小野 当時の証券局長って長野庬士さんですよね。

高橋 そうそう。特捜部は、長野さんを捕まえたいがために、部下の彼から事情を聴こうとした。当時は大蔵省内でそう受け止めた人が多かったですね。彼は総務課企画官なので、長野さんの予定を把握できる立場にあったから捜査線上に浮かんで、そのまま逮捕された可能性もあると思います。

小野 でも一方で、長野さんはスーパー優秀な大蔵官僚だったというイメージもあります。

高橋 それはその通り。長野さんは圧倒的にできる人でした。接待を受ける人って、実はできる人なんです。銀行や証券会社もできない人を接待しても意味がない。長野さんは、仕事をバンバンやる人だった。

小野 だから、97年に山一證券の自主廃業の際には、長野さんが中心になって問題を処理していましたね。

 

高橋 そうです。ただ、ちょっと別の角度から話をすると、証券会社の破綻処理は、預金がないから気楽といえば気楽なんですよ。証券会社を潰したところで、持っている株券を返せばいい。それだけなんです。株券などの顧客の資産は分別管理されていますから、株券が投資家に戻ってこないことはないです。

小野 それに対して銀行が破綻すると大変です。金融システムが揺らいでしまいますから。