全員はマトモな医療を受けられない…英国はコロナ危機を乗り切れるか

国立病院の疲弊とリソース不足
谷本 真由美 プロフィール

移民が増え、負担も増えた

問題は高齢化だけではありません。EU発足後、欧州北部の先進国には、経済状況が良くない加盟国から数多くの移民が流入するようになりました。

域内では居住も仕事も完全に自由になり、ビザが必要なくなったので、医療制度や福祉が良い国に人がどんどん流れていったのです。

しかし病院や学校の数を急激に増やすことはできません。

移民してきた人々の全員が高額納税者ではありませんから、国保の収入が劇的に増えるわけでもありません。

 

人が増えれば病院や公共交通機関、学校への負担がぐんと増えます。

新型コロナウイルスの問題が起こる以前から、イギリスだけではなく欧州の国々では、医療制度の疲弊がかなり深刻になっていました。

その実態がどんなものであるか。

以下は私の体験です。

私はイタリアのローマに国連専門機関の職員として4年間住んでいました。国連職員は職場が契約する民間の医療保険に入っているので、イタリアでは病気になると、私立の病院に行きます。私立の病院というのは、保険がなければ治療費や入院費は自費ですから、大変高額です。

なぜ職場が私立の病院に行くための保険を提供しなければならないかというと、 地元の公立病院のレベルがあまりにもひどいからです。