「母親」にはどうしたらなれるのか

本題に戻ろう。人は出産をすると「母親」になれるのだろうか。

「私が初めて出産したときは、ひたすら夢中でした。といっても精神的に苦しくなるというよりも、夢中になりすぎて、逆に他をシャットアウトしすぎていて申し訳なかったと思います。シャットアウトしたのは、仕事とか、もしかして旦那さんとか(笑)。自分がいないと死んじゃうかもしれない存在をはじめて目にして、自分にとって守るべき存在ができることの素晴らしさに夢中だったんです。

ただ、母性というものはあると思いますが、でも、産んだからそのまま母親になるとは限らない一緒に成長して強くなれることが、母親になることへの第一歩だと思います」

「出産」はとても大きな仕事だ。しかし、産んだ本人も、「その子」の育児は初めて。何回出産したとしても、ひとりとして「同じ子ども」はおらず、毎回「初めて」の体験で子育てをしていく。一緒に成長していくことで、母親に「なっていく」ということなのだろう。

「いま私がなにより支えたいのは、もちろん子どもたちです。ただ、子どもに対しても『パートナーだ』って思えるようになりました。特に上の子に関しては、自分が自立というかデビューした年と同じくらいになりました。当時私が夢中でやっていたように、彼も新しいステップを踏み出して、新しい宇宙を持っている。なによりも守りたい存在であることに変わりはないですが(笑)」

撮影/丸谷嘉長