出産をすると「母親」になれるのか。家族は自然と「家族になる」のか。

望まない妊娠をして出産をする人もいる。望んでも授からない人もいる。卵子提供で出産する人も、養子縁組で親になる人も――「生まれた時からの家族・親子」でない親子や家族も多く存在する。では、いつ、どうやって人は「母」となり、「家族」となるのだろう。

そんなことを改めて考えさせてくれるのが、重松 清さん原作の映画『ステップ』(7月17日公開)だ。1歳半の娘・美紀を残し、突如30歳で天国に旅立ってしまった朋子の夫・健一を主人公に、美紀との10年を淡々と描いた物語で、健一を山田孝之さんが演じる。広末涼子さんの役は、健一が初めて「美紀に会わせたい」と思う会社の同僚・斎藤奈々恵だ。絶対的な、それでも身体はない「母」がいる家庭に「母」として入ることを考える彼女もまた、健一には言えない秘密を抱えている。

広末さん自身、14歳でデビューしてから26年になる現在、3児の母親でもある。40歳になる今年もさらに透明感を増す彼女に、まだコロナで緊急事態宣言が出る前に話を聞いた。

撮影./丸谷嘉長
広末涼子(ひろすえ・りょうこ)
1980年7月18日高知県生まれ。94年、14歳のときに「クレアラシルぴかぴかフェイスコンテスト」でグランプリをとり、95年『ハートにS』でドラマデビュー。初主演映画『20世紀ノスタルジア』(97年)で第21回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。『秘密』『鉄道員』(ともに99年)、『おくりびと』(08年)ドラマ『ゼロの焦点』(09年)『鍵泥棒のメソッド』(12年)など出演作多数。最近公開の映画に『嘘八百 京町ロワイヤル』『ステップ』『コンフィデンスマンJP プリンセス編』などがある。

10年前から明らかに「社会」が変わった

広末さんが『ステップ』のオファーを引き受けた理由、その一つは「テーマ」にあったという。

「本を読んだ時、これは世代や時代を超えた多くの方の心に響く内容だと感じました。現在親として成長している人には振り返りになるし、親になっていない人も自分の親との関係を見つめることにもなりますよね。

私が親として経験してきた中で、特にここ数年は社会の変化をすごく感じます。いま、仕事をしている母親も増えて、主夫になる父親も増えて、学校で夫婦の形を考える勉強会のようなものがあるんです。公の場でこれがテーマになるのは、ここ最近のことです。そんな風に感じている中、このお話をいただいたので、いわんや父親が娘とどう向き合うか、一人で親としてどうやって育てていくのかというこの内容はとてもタイムリーなテーマで、興味がありました」