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人気作家・畠中恵が描く「お江戸猫又ファンタジー」驚きの世界

インタビューで語る

人に化ける妖怪「猫又」

――著書の『猫君』は、花のお江戸で猫たちが冒険を繰り広げるファンタジー小説。猫は猫でも、主役は妖怪になった「猫又」。妖怪になりたての新米猫又が修業をして成長していく物語です。

この小説は、散歩の途中に発想したものなんです。私は、北の丸公園を通り、旧江戸城跡(皇居東御苑)を抜けて大手町まで行くコースをよく散歩するんです。歩きながら、「あ、ここに学校があったら面白い。妖の学校を開こう!」と思ったのが物語のきっかけ。妖が広い天守閣内を駆け巡ったり、富士見櫓で勉強したりしたら楽しいじゃないですか。

学校に入る妖であるなら、それは人に化けられるものでなくてはなりません。ならば猫か、狐か、河童か……いちばん馴染みがある猫にしよう、猫又でいこうと決めました。

 

『しゃばけ』シリーズにも、猫又の「おしろ」というキャラクターが一匹登場しています。伝承としての猫又は、20年生きた猫がなると言われています。人の言葉が分かるようになって会話ができるようになり、シッポが二叉に分かれます。もちろん人にも化けられるようになって。

実際の伝承では東海道の戸塚にいた猫又が有名なんです。そこで残っている言い伝えは「主人の手ぬぐいを一本かすめ取ろうとしたけど持ってはいけなかった」というもの。他にも祟りなどとは無関係な話が多く、どこか愛嬌があるのが猫又なんです。