大切なのは「好きなこと」をみつけること

松原さんは、たくさんの働く障害者を見守ってきた。

「以前住んでいた町のスターバックスで働いていたあるダウン症の女性は、すべてのメニューを作ることができて、私が行くと『いつもお世話になっている松原さんへ』なんて言いながらハートのラテ・アートをしたラテを出してくれる方でした。彼女は勤続10年、その店で一番のベテランなんです。でも実際は、そんなにうまく働き続けられる方ばかりではありません。

見ていると、やはり働くときは体力があり、働く目的を持っている人が強いです。だから私は親としては、息子にいろいろな体験をさせてあげて、好きなことを見つけてもらいたいです」

かつてオリンピックを目指していた夫の達哉さんが佑哉君にスケートを教えているのも「いろんな体験」の一環だ 写真提供/松原未知

それは、障害の有無を問わないことかもしれない。

「ある方は、小さい時におじいちゃんからカメラをもらって写真を撮るのが好きになったんです。それからというもの、写真屋さんに現像を頼むために言葉を覚え、お金の勘定を覚えて、『現像は何月何日に出来ますよ』といわれるのでカレンダーを覚えました。そして、英国のヒースロー空港で飛行機を撮影するという夢を持ったんですよ。そこで彼は採用面接で、その旅費を貯めるためにここで6年間働きたい、と言ったんです。

中には、50代まで就労継続B型にいたのに、お父さんが亡くなって、そこでお母さんを支えたいと思って初めて企業就職を考えた人もいました。私はその人の面接をして、絶対にこの人を雇いたいと思いました。本人に頑張る理由が出来た時が仕事に目覚めた時なんです」

その人が自分なりにいい仕事ができることが大切――松原さんが障害者就労支援で大切にしてきたことだ。