思い描いていた「子どもとの夢」を作り直す

しかし、そんな松原さんでも、子どもがダウン症であると告げられ、そのことを受け止めていくのは簡単なことではなかった。

「一番辛いのは、夫婦で話してきた夢をいったん失わなければならないんです。私たちは、自分たちが今持っている価値観や大切にしている世界観を子どもに伝えて、その子がそれを吸収しながら自分たちを越えていく成長過程を楽しみたいと思っていました。それが、ダウン症の子どもだと、どうしてもイメージしにくいんです」

当時を振り返る松原さん 撮影/河合蘭

松原さんの夫は、かつてオリンピック出場も夢見たアイスホッケーの選手で、息子が生まれたら英才教育をしようと思っていた。松原さんも、子どもをミッションスクールに入れたいと考えていて、二人とも、漠然と、自分が辿ってきた道を子どもが歩く姿を楽しみにしていた。

しかし、障害があると、その子が何ができて、何ができないのかわからない。夢がこわれていく喪失感を感じて、松原さんは、やはり、ダウン症と告知された他の母親と同じように泣いた。何を夢見たらいいのか、わからない。
でも現実を前にして、松原さんはイメージの作り直しを始めた。