コロナ休校でわかった「2020年以降の教育に絶対必要なこと」

「ITは苦手」と発言する校長は罪深い
岡嶋 裕史, 山脇 智志 プロフィール

山脇 岡嶋さんは教育について、インフラとして非常に弱いとおっしゃいましたが、私はあえて「ライフライン」と表現したい。

もちろん、水とか電気のように文字通りの「生命の線」という意味ではないです。しかし、教育は人間が人間として生きていくためには必要なものです。知識を得ることは頭の栄養だったりする。

今回の件で、そのライフラインとしての教育があまりにも脆弱であることがバレてしまった。

しかし、実は3月にこれが起きたことは逆にラッキーだったと思ってました。新年度に向けて準備ができる、と。

でも、どれだけの小学校や中学校が、高校や大学が、教育委員会や文部科学省が、未来に同じことが起きたとして、ちゃんと対応できるんだろうか。急場をやり過ごして状況がよくなることを天に祈っているようなものは、準備でも対策でもありません。

私たちがECP(Education Continuity Plan)つまり「教育継続計画」を事業として立ち上げる背景もそこにあります。もともとはBCP(Business Continuity Plan)、「災害があっても事業を止めないための計画」から発展したものです。

「学びを止めるな」という言葉が、休校措置以降にネット上では大きなバズワードとなりました。エドテック企業が多くの学習サービスやコンテンツをウェブ上で無料で提供し、通信教育や出版社も追随しました。

でも本当は、こうした対応はシステムとしてやっておかねばならないことです。西日本では阪神大震災以降、遅れて東日本では東日本大震災以降、BCPは整備され企業内では当然の言葉となった感があります。ですが、疫病や感染症などはあまり想定されていないそうです。

感染症が拡大した地域では経済活動が停滞してしまった(米マンハッタンで2020年3月23日撮影) Photo by Getty Images

隔離が実行されると、これまでBCPの前提となっていた集合ができなくなるし、孤立してしまう可能性がある。

だからECPにおいては、とにかく空白期間をできるだけなくして、すぐに教育に戻れるようにしてあげる必要がある。私たちは「ダウンタイム・ゼロの教育」と表現していますが、いまやこれをITを使わずにやるのは無理だ、と断言します。

教育に対して責任をもつ教育長や学校長は、ITが苦手だとか、嫌いだとか言ってはいけない。そんな自分の嗜好と、自分の学区の生徒の数だけの未来とを天秤にかけたら、ITを拒んでいる場合ではないことは明らかなはず。

自分たちで解決できないなら、 ちゃんと声高に叫んでレスキュー を求めるべきです。

教育を途切れさせないための「自動化」

岡嶋 みんなちょっとずつ声をあげはじめ、実際に成果が出てきていますよね。すごく心強い進展がありました。でも、どうしてもビジネス分野、つまりBCPでの対応が目立ちます。

ECPというのは良い言葉ですね。教育がライフラインだとしたら、家に隔離されている間も供給されるべきだと思うんです。結果的にそれは、災害時対応だけでなく、学校に行けなくて困っている子や、障害があってクラスルームトレーニングに参加しにくい子たちの福音になるかもしれません。

豊かなインフラを作るって、そういうことだと思います。

御社の掲げている「教育の自動化」もまた、切実に求められていると思います。非常時でもふだんのときでも、です。

教員に求められるサービスの提供水準が高くなり、でもリソースは削られていくなかで、自動化できるものは自動化していかないと教育水準は保てませんし、 一人ひとりのケアをしていくこともできません。

山脇 いきなり自動化といっても、いろいろとあつれきが起きるかもしれませんので、私たちは「効率化」という言葉を使ってます。ただ「効率化」という表現には夢がないですよね。

私はやはり、ITを使うことで圧倒的な生産性を担保し、その上で人間でなければならないところに注力してもらえるような教育を創出したい。これまでのやり方では救えなかった子供たちに対して学習機会を提供できるはずですし。

今回、私たちは国内の教育機関に向けて、授業プラン策定のお手伝いをしつつ、ウェブにテンプレートファイルのような形で知見の共有を進めていこうと思っています。

同時に、スマホに最適化されたオンライン学習プラットフォームであるGoocusを無料提供し、ほかのサービスとも連携を図っていきたい。ZOOMでもいいしLINEだっていい。

テクノロジーは必ず進化します。だから、進化に合わせて、自分の環境に適合したものを学校は採用してくれればいい。

教育を守ることができるのであればなんだっていいと思います。集合して学ぶことにも、意味があるはず。その意味を守り、最大限に活かすためにも、いまこそITを活用してほしいと心から思いますね。

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