Photo by gettyimages

コロナ危機と森友「近畿財務局職員の自殺」追及を一度止めるべき理由

これでは財務省の思う壺だ
※本記事は『佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」』に収録している文化放送「くにまるジャパン極」の放送内容(2020年3月20日)の一部抜粋です。野村邦丸氏は番組パーソナリティです。

コロナと政局を切り分ける

邦丸:世界最大最強国家といわれるアメリカ合衆国が、国民に海外への渡航を禁じるレベル4の厳しい措置をとっています。ドイツのメルケル首相は「第二次大戦以降でドイツが経験した最悪の状態である」と言っていますし、イギリスのエリザベス女王も国民に感染対策を呼びかけている。世界各国の元首クラスの方々が、とにかく今は、じっとしていてくださいというメッセージを発信していますね。

佐藤:ここは国際法の知識がすごく重要になるんです。

昔、オランダにグローティウスという法学者がいて、教科書にも出てきますけど、『戦争と平和の法』という本を書いているんです。戦争が始まると、今までの法律がガラッと変わっちゃう。実はトランプ大統領は、「戦争が始まった」と言っているんです。新型コロナウイルスに対する戦争です。だから、ルールも全部変わりますよと。

そこでいちばん重要なのは何かというと、渡航の中止とかよりも、国内がまとまるために政争をやめようということなんです。中国はもともと政争がありません。ヨーロッパもロシアもアメリカも、コロナ対策で国が一丸となろうとしている。レベル4というのは、戦争のときとか、国交がない国に対してしか使われないレベルですからね。

Photo by gettyimages

邦丸:はい。

佐藤:その中でどうも、東アジアの二つの国だけが政争をやめることができていないんですね。大韓民国とわが国です。この二つの国は、世界じゅうが今、この新型コロナで戦時の意識に変わりつつあるときに、平時態勢なんです。これがいちばんのズレだと思うんですね。

邦丸:当初日本では、検査を重視すべきだっていう考え方が一般的だったと思うんですね。検査しないことには陰性か陽性かわからないじゃないかと。ところがここのところ位相も変わってきて、特に専門家会議の報告などを見てみると、検査ももちろん充実させる必要はあるけども、まずは重症化された方々をいかに医療で受け入れるか、それが大事になっていると。

 

佐藤:結局、方向性は二つしかないんです。医療資源は限られている。その限られた医療資源を「検査」に向けると「治療」に向けられない。「治療」に向けると「検査」を十分にできない。どっちを採るかということで、日本やイギリスは治療を重視するという選択を採っているわけですね。

ただし、これは政治問題なんですよ。もう封じ込められないことは明白なんだけど、政府が封じ込めると言ったのにダメでしたとなれば、政争が中止されていないと野党は「内閣を倒すぞ」という話になってくる。そうすると、内閣の本能として倒されたくはないですから、「やっぱり検査を充実させないといけない」などと逆のことを言ったりするわけですよ。

邦丸:ほうほう。