ネット時代だからこそ重要なリアル体験

僕が教師になりたての2005年と、16年、19年。当時勤めていたそれぞれの小学校に、僕が以前住んでいたボスニア・ヘルツェゴヴィナの友人とその家族を招待したことがあります。

森田太郎さんは1999年からボスニア・ヘルツェゴヴィナに通い、サッカーを通じて民族融和を図る論文で賞も取っている。写真は2015年、かつてのクリロの選手らが集まったスタディツアー。ムスリム、クロアチア、セルビア、そして日本人と民族が融合。森田さんは毎年のように彼らと会う機会を設けている 写真提供/森田太郎

子どもたちは「わっ、本当に来た!」などと、遠く、知名度も高くないバルカン半島の小さな国からのお客さんに大興奮でした。
事前にボスニアについて、戦争があった歴史や気候、人口や文化などを本やネットで調べていました。が、実際にその国の人と会うと、その国も人もより身近になります。

2015年は、友人がサラエヴォで「子ども戦争博物館」を設立しようと世界を回っていたこともあり、写真や映像を用いての授業をしてもらいました。戦争体験だけでなく、日常生活などに興味をもった子どもたちは、食べ物の特徴や、学校生活の様子など様々な質問をしながら前のめりに学んでいました。

会話の中で、ボスニアは家の中では日本と同じように靴を脱いで過ごすとわかった時は、「えっ! 外国って、土足じゃないの!?」
子どもたちはびっくりしていました。本だけでは調べきれなかった本当の国の姿を、その国から来た人に実際聞く。これは実に豊かな経験です。

逆に、ボスニアからきた彼らは、日本の小学校の充実したランチ(給食)に大いに感動していました。放課後に子どもたちが自ら教室や廊下を掃除するのも驚いていました。欧米では、学校の清掃は業者がやります。
「これは子どもにとってもすごく大事なことだ!」と話していました。自分たちで掃除をしないので、子どもたちは道を歩きながら平気でごみを捨てるそうです。

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世界の国々とインターネットを通じてつながる機会を作ることで、逆にチャンスにできます。直接会っての交流は難しくても、互いに目を合わせ、対話するだけでも距離は縮まります。距離が縮まるということは、興味関心が生まれ、愛着が芽生えるものです。

そうなれば、東京オリンピック・パラリンピックが開幕した時、訪れる様々な国と地域の人々との直接の交流がより一層豊かで実りあるものになるのではないでしょうか。

森田太郎さん連載「タロー通信・風のとびら」今までの記事はこちら

構成/島沢優子