(写真はすべて筆者撮影)

新型コロナ大流行、内戦下を生き抜いたシリア難民から学ぶこと

仕事とコミュニティについて

内戦10年目に突入

全世界で爆発的に感染が拡大している新型コロナウィルス。日本でも感染者は日に日に増加している。

4月8日には緊急事態宣言が発出され、仕事や生活のあらゆる面で、感染拡大を防ぐための一人一人の行動が求められている。しかし収束への道筋は未だに見えず、私たちは刻々と変化する状況のなかで、かつて経験したことのない試練を迎えている。突如として世界が変わり、ごく短期間で日常が失われていく。

そんな今だからこそ、私はここである国の話をしたい。2011年から内戦が続くシリアについてだ。

シリアでは、この10年の内戦によって多くの死者、難民が生まれた。各地で悪化の一途をたどった武力衝突は人々の日常を奪い、治安を悪化させ、あらゆる経済活動が停止した。その状況下、人々は数年間にわたって自宅退避か、または避難を余儀なくされてきた。

こうした内戦下のシリアとは背景こそ異なるものの、シリア人が経済的な打撃を被りながら何年も非日常を過ごしてきた点で、彼らの経験から学ぶことは大きいはずだ。

本記事では、内戦下のシリアで、人々がどのように困難な時を乗り越えたのかを、仕事とコミュニティという視点から考察した。

 

シリア人にとって仕事とは何か

シリアは古代文明発祥地としても知られる中東の一国だ。西は地中海に面し、北にユーフラテス側が流れ、南には砂漠が広がる。アジアとヨーロッパを結ぶ交易の拠点として古来から栄え、多くの民族、国家が光芒を繰り返してきた。

2020年現在、内戦によって生まれたシリア難民は560万人。かつての人口2240万人のうち約4分の1に及ぶ。さらに国内には780万人にのぼる国内避難民がいるとされ、難民と避難民とを合わせると、人口の半数近い1300万人近くが生活を失っている。1300万人といえば東京都の人口に匹敵する。これだけ多くが短期間に路頭に迷い、土地から土地へと移動して生きてきた。