3月16日の国連の定例記者会見で、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の統計を基に新型コロナウイルスの感染拡大を受け、56ヵ国が学校を一時的に閉鎖し、5億1600万人の子どもたちが学校に通えなくなったと発表された。そして、それによって広がる教育格差にも懸念が表明された。

ユネスコの統計は毎日更新され、この記事の執筆現在(3月23日)では157ヵ国が全国規模で学校を閉鎖し、14億人以上の子どもたちが学校に通えていないと示している。これは実に、世界全体の約8割にあたるそうだ。
今や、「学校に来られない子供たちをどのように教育するか」は世界共通の課題であると言える。

そんな中、筆者が住む欧州オランダも、日本から2週間遅れて義務教育の一斉休校が始まった。オランダは、世界の子供の支援や「子供の権利条約」普及に努めるユニセフが数年ごとに先進国の子供を対象としてまとめる「子供の幸福度リポート(CHILD WELL-BEING IN RICH COUNTRIES: A COMPARATIVE OVERVIEW」(最新版2013年)の調査で、「世界一の教育」と認定された。

そのオランダの小学校が新型コロナによる休校でどのような対応をしていったのかを、筆者の子供が通う小学校を主な例として伝えていきたいと思う。

日曜夜の突然の休校宣言

オランダの休校スタートは突然だった。3月15日(日)の午後5時半、政府より託児所および学校(小学校、中等教育校及び中等職業教育施設)の一斉閉鎖を言い渡されたのだ。しかも、スタートは翌日の16日からで、とりあえず4月6日までの休校。

これに驚いたのが、当の学校たち。実はこの数日前の3月12日(木)に、ルッテ首相が同じような会見の場で「学校の休校は無い」と話していたので、こんなに急に休校宣言がくるとは思っていなかったはずだ。

更に政府は、15日の緊急提言に「医療、警察、公共交通機関及び消防等に従事する親の子供達は、親の勤務継続を可能とするため、学校及び託児所での受け入れが無料で手配される」とも付け加えていた。学校は休校準備のみならず、そういった職業の保護者をもつ生徒の把握を行わなくてはならないことを意味する。

テレビを通じての緊急提言から数分後、日曜の夜にもかかわらず学校から保護者あてにメールが届いた

政府の緊急提言が「翌日からの休校」だったため、再度学校に集まることがなかったこともあるが、数分後のメールが届いたことで、保護者はまず安心した Photo by iStock

この時点での学校の優先度は、まずは明日からの休校中も預からなくてはいけない生徒の把握。「登校の必要がある場合は教えて欲しい」というようなことが書かれていた。

そしてそれに加えて、「明日教師たちと遠隔教育を実現する方法について計画を立てる。可能な限り最高の教育を提供し続けるために最善を尽くす」とのコメントが。実は先ほどの政府の発表でも、スロブ大臣(初等中等教育・メディア担当)が「教師は、自宅にいる子供のための遠隔教育を計画すること」と提言していた。この時点で筆者は、休校中も教育は止まらないのだなと安堵を覚えた。
こうして、3月15日の夜は嵐のように過ぎていった。