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優秀な新人が次々犠牲に…「ブラック弁護士事務所」の恐ろしき実態

なぜ辞めたいと言えないのか

どんな職業でも、その需給バランスが崩れると、質の劣化は免れないのかもしれない。悪貨は良貨を駆逐する。一度、質が低下した職業に、優秀な人材はやって来ない。結果、その職場は「ブラック化」の一途を辿る。

聖職者と呼ばれる職業ですら例外ではない。元来、キリスト教の司祭、宣教師といった教え導く立場にある者を指すこの言葉は、今では転じて、社会の指導的立場にある職を指す。教師、医師、そして弁護士もまた然り。

今や高い倫理観を求められる弁護士という職業も“ブラック化”しつつある――。

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儲かる職業ではない

1999年から段階的に行われてきた司法制度改革により弁護士の数が増えた。そのため新人弁護士の就職先にアブレている……というのは、今ではもう昔の話だ。ここ数年来、新人弁護士の就職状況は、かつての買い手市場から一転、売り手市場へと転じている。

概ね司法試験合格者数は、制度改革後の2008年から2013年までの7年間こそ、2000人を超えていた。だが、2014年の1810人を境目に、以降、緩やかに減り続け、2016年以降、2019年まで1500人台を推移している。司法制度改革前の水準に戻った格好だ(出所:『弁護士白書』2018年版)。

 

この司法制度改革による「報酬(弁護士費用)の自由化」「広告の解禁」といった規制緩和で、それまで市民にとって敷居の高かった弁護士の存在がぐっと身近なものとなる。

これに伴い、弁護士は、それまであまり経験する機会のなかった事務所経営を意識せざるを得なくなった。だが、弁護士という職業は、多少の異論はあろうが、昔も今も公的な職業ゆえか、そもそも儲かる職業ではないようだ。