トップAV女優・紗倉まなが語る、小説で「老人の性」を描いたワケ

最新作『春、死なん』を語る
週刊現代 プロフィール

満たされぬ性欲

――定年後に妻の喜美代との田舎暮らしを夢見るも、息子の賢治に強引に二世帯住宅を勧められる。その暮らしに喜美代は心身のバランスを崩して鬱になり、やがて亡くなる。

残された富雄は妻の影を求める空虚な日々を送り、満たされぬ性欲をエロ本で消費する。リアリティある設定です。

子供の頃、数年だけ両親と祖母が同居していたのですが、祖母の住む1階にはほとんど行かず、話す機会も少なかったんです。「おばあちゃんは、本当に幸せなんだろうか」と疑問を抱いたことが何度かありました。

仕事では良い格好しいなのに、家族には自分勝手にふるまう賢治は、実は書いていて一番楽しかった人物です。賢治は妻の里香にも粗暴な態度をとる内弁慶な男ですが、私にも似たようなところがあるので……(笑)。イヤな旦那様としてどんどん悪役になってもらいました。

 

――富雄は病院帰りにふとしたことで、学生時代に一度だけ肌を重ねた後輩・高坂文江と再会します。配偶者を亡くした者同士、二人は関係を深めていく。文江との会話やセックスの描写に、引き込まれます。

富雄が満たされるためには、誰が一番適しているのか考えたんです。同じ時間を共有したり、思いを共有して、人は満たされる。

富雄には若い頃の逢瀬の記憶があり、余白を経て、自然ななりゆきで文江とセックスをする――そうして、富雄の生から溢れ出るものを、この作品では描きたかったんです。