新型コロナ「世界的危機」が、日本人の想像以上に深刻である理由

戦略論的分析から見えてくること
佐藤 丙午 プロフィール

社会生活を破滅させかねない方策

医療関係者は、専門的立場から、感染拡大防止策に対する明確なアイディアを持っている。爆発的な感染拡大を阻止するためには、その原因となる社会活動を規制する必要がある。

しかしそれは、都市封鎖(ロックダウン)にせよ、外出禁止にせよ、さらには感染国からの人の出入り禁止にせよ、社会生活を破滅させかねない方策である。

〔PHOTO〕gettyimages

さらにそれは、一時的な措置以上の意味はない。もしワクチンの開発が遅れるのであれば、外出禁止措置等が解かれた段階で、感染が拡大することになる。

つまり、感染者を完全に隔離することは、理論的には正しいが、実際には極めて大きなコストを伴うのである。

また、検査は実態を把握するための一つの手段にすぎず、検査を受けて陰性と判定されれば、そこでCOVID-19問題から完全に開放されたということを意味するものではない。検査終了後に、感染者と接触すれば、ゲームは振出しに戻る可能性がある。

 

東京五輪延期をめぐって

では、感染拡大を物理的に封じ込めることが困難であるのであれば、社会や経済生活に対する負の影響を最小限にして、どのように時間を稼ぐことが可能なのか。

日本をはじめ、国際社会が直面している課題は、実はこの点に集約される。さらに、世界各地域に感染症の影響が時間差をおいて拡大していく中で(パニックが発生し終息するサイクルが、地域ごとに異なるタイミングで発生する)、国際的に調和された方策をとることが可能か、という問題も考慮する必要がある。

後者の問題は、2020年東京五輪の開催延期をめぐる議論に典型的に表れた。極めて楽観的な見方をすれば、日本国内では2020年8月までには事態は終息している可能性が高い。このため、日本だけで見ると、五輪の開催は問題なく可能と判断しても不思議ではない。

しかし、欧米諸国では、選手選考を含め、五輪のための準備作業が必要な段階で感染爆発が発生しているため、現時点で開催を検討すること自体が不見識であり、また8月の段階で事態が終息している可能性は低いと考えるのである。

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