(c)「TEZUKA 2020」プロジェクト

手塚治虫の「新作」から考える…AIは万能か、ツールに過ぎないか

マンガ『ぱいどん』を無料公開

「手塚治虫が現代に生きていたら、どんな未来を漫画に描くだろうか」――キオクシア株式会社をプロジェクトリーダーに、手塚プロダクション、AI研究者によって始動したTEZUKA2020プロジェクト。

AIと人間によるマンガ制作における「クリエイティブ総指揮」を担当した、手塚プロダクション取締役の手塚眞氏と、人工知能研究者で『人工知能はなぜ椅子に座れないのか』(新潮社)の著者である松田雄馬氏との「AI技術」対談。前編に続き、後編では同プロジェクトから生まれた漫画『ぱいどん』に触れながら、AI時代の「学び」を考える――。

人間とAIの融合による『ぱいどん』制作

松田:『ぱいどん』の中身についても触れながら、今回のプロジェクトを振り返りたいと思います。まず、主人公「ぱいどん」という個性的なキャラクター。一見すると浮浪者のようでもありますが、実は、彼の知識を求めて訪ねてくる人がいるような高い能力の持ち主です。この設定は、「AI」によるものなのでしょうか。

 

手塚:今回、AIが考えたのはキーワードです。たとえば、アイザック・ニュートンが万有引力を発見したのは木からりんごが落ちるのを見たときだったという逸話があります。その「りんごの木」の役割を、AIに求めました。

松田:キャラクター設定は人間の手によるものなのでしょうか。

手塚:細かな設定はすべて私が考えたものです。登場人物の設定は、人物関係を含め、すべて詳細に考えています。実は、設定のほうが脚本よりも分量が多いほど、作り込んでいます。