ーー2019年ラグビーW杯の日本戦について振り返っていきたいと思います。日本は大躍進でしたね。
真壁:感動した。とにかく感動した!
ーーまずは大金星をあげたアイルランド戦です。
真壁:あの試合びっくりしたのは、今までキックなどを多用していた選手たちが急に地上戦をしていたこと。その時に一番最初に頭に浮かんだのはトニー・ブラウン(アタックコーチ)なんだよね。ずっと温めてやがったなって思った。
たぶん、アイルランドに勝つため、それまでのサンウルブズや日本代表の戦いから布石を打って、温めて、その上で試合で爆発させんだんだと思います。
ーー最初は勝てないだろうという雰囲気でしたが、次第に空気が変わっていきました。真壁さんはどのあたりから勝算を感じていましたか。
真壁:僕は冗談抜きで最初から勝てると思ってたんですよ。ラグビーセミナーを毎週やっていて、そこでアイルランド戦の見どころを話すために色々調べていたのですが、調べれば調べるほど「勝てるな」っていう感覚になってきて。昔ほど圧倒的な差を感じなかった。だから「勝てる」って話したら、見事その通りの試合運びで勝ったから、もうドヤ顔が凄かった(笑)。
(アイルランドは)ジョナサン・セクストンの不在が大きかった。彼がいない試合は結構負ける確率が高くて、実際機能していませんでした。アイルランドもセクストンを使いすぎていて、みんなそこにマッチしすぎていた。だから、不在によるちょっとしたズレはあったと思います。
僕も長年、日和佐篤(元日本代表/サントリーのスクラムハーフ)と組んでいたのですが、彼が変わると急に感覚が変わるんですよ。これも日本勝利の理由の一つだと思います。
ーーフォワードが良かった印象ですが、長谷川慎スクラムコーチの影響は大きかったのでしょうか。
真壁:4年間芯をぶらさず、こういうことをやるんだって言い続けられるコーチです。そこにみんながついていこうという雰囲気を作れる人柄だった。そこも大きいと思います。僕のときもマルク・ダルマゾっていう変人(笑)で、私生活は絶対付き合いたくないと思ったけど、スクラムに関してはついていこうと思ったからね。そう思わせるコーチってやっぱりすごいんです。