実行犯が語る「よど号ハイジャック事件」50年目の新事実【上】

彼らは今、北朝鮮で何を思うのか
伊藤 孝司 プロフィール

日米の動きに連動して取材が実現

米国は、北朝鮮が「よど号」ハイジャック犯を保護していることを「テロ支援国家」指定の理由の一つとしていた。それが2008年10月に解除されることになり、「グループ」の帰国の可能性が出てきた。そのため、スポークスマンの若林盛亮への取材が実現。これは『週刊現代』7月26日号に「北朝鮮 よど号犯が独占激白 『日本人拉致』と『帰国』」として発表した。

次に、ハイジャックを決行した4人へのインタビューを計画した。

ハイジャック事件が起きた当時、『週刊少年マガジン』に連載されていた漫画「あしたのジョー」(原作:梶原一騎、画:ちばてつや)は爆発的人気を誇っていた。リーダーの田宮は、事件直前に執筆した「出発宣言」に「最後に確認しよう。われわれは“明日のジョー”である」と結ぶほどだった。「赤軍派」のハイジャック犯にとって、「あしたのジョー」は特別な意味を持っていたのだ。

そのため2009年4月、4人に「あしたのジョー」への思いを中心にインタビューをし、『週刊現代』5月16・23日合併号に「よど号ハイジャック犯が語る『40年目のあしたのジョー』」を掲載した。

自分たちが所有する「あしたのジョー」を前にした4人(2009年4月13日撮影)

その後、私は、「グループ」が居住する「日本人村」で、妻たちを含めた6人を取材する交渉を続けたものの実現には至らなかった。

ところが2014年5月の「日朝ストックホルム合意」によって、北朝鮮が国内で暮らす“日本人調査”を実施することが決まると、日本政府との帰国交渉を望む「グループ」は、一転して私の取材を受け入れることになった。

その年の9月、私は「村」に7日間滞在して徹底取材をした。それはテレビ東京系列『未来世紀ジパング』(10月20日放送)などで発表した。

2年ほど前からハイジャック事件50年に向けた取材交渉をしてきたが、彼らと直接会って取材することはついに実現しなかった。そこで「グループ」へ54項目の質問を送付したところ、A4用紙37枚におよぶ「回答」が送られてきた。また、この記事のために最近の写真を依頼したところ、新たに撮影したものを含めた4枚が手元に届いた。

この「回答」には、今まで明らかにされてこなかった話が数多く含まれている。それらを中心にして「よど号ハイジャック事件」を振り返り、知られざる「グループ」の活動や生活、帰国をめぐる新たな動きを紹介する。

 

なお、彼らからの文章を少しでも忠実に伝えるため、分かりにくい箇所のみの修正にとどめた。また「グループ」が、北朝鮮を「朝鮮」としているのはそのままにしている。

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