新型コロナ危機で露呈、グローバル化世界の「厳しすぎる現実」

「普通の日々」は戻ってくるのだろうか
笠原 敏彦 プロフィール

いまこそ国際協調が重要だが…

次に、ヨーロッパを越えて、より広い国際協調の欠如についてである。

これは、EUの実情以上に深刻だ

この非常事態に際しても、アメリカと中国という21世紀の超大国が非難合戦やジャーナリストの追放合戦を繰り返しているのだから、協調もなにもあったものではない。

好対照として引き合いに出されるのは、2008年のリーマンショックに続く国際金融危機でのアメリカのリーダーシップ発揮と中国が果たしたサポート的な役割である。

この危機で、アメリカはG7ではなく、中国など新興国を含む主要20カ国・地域(G20)首脳会議の枠組み(それまでのG20は財務相会合だった)を新たに立ち上げて国際協調を主導し、中国は巨額の財政出動で世界経済の回復を支える原動力となった。

筆者は、翌年4月にロンドンで開かれた第2回のG20首脳会議を取材したが、当時の中国にはまだ国際的な問題で中心的な役割を果たすという心構えはなかった。

その中国をアメリカが引き込むことで、協調的な態勢が出来上がったのである(ただし中国はこの後、急速に自己主張を強める)。

グローバルな危機に対する国際協調の重要性を示す好例だろう。

 

これに対し、アメリカを再び偉大にすることにしか関心がないトランプ大統領が国際協調でリーダーシップをとることへの期待は薄い。

協調どころか、今回のパンデミックは、アメリカ経済と中国経済のデカップリング(分離)を加速させるという見方さえ出ている。

アメリカと中国が共通の利益を尊重し、協調の精神を取り戻すことを期待しながらも、各国は米中対立の構図を直視し、現実的な対応していかねばならないということなのか。