投資が心の支えに

約1年療養したあと、職場に復帰した遠藤さんだが、長期不在の影響もあり、ほとんど仕事を与えられず、居場所もない状態だった。また契約社員と正社員の身分差別にストレスを募らせ、転職を考えるようになった。

「正社員は25歳でも100万円くらいボーナスがでるのに、33歳の私は20、30万円。こちらは身を粉にして働いて、さんざん残業して、同じように仕事をしているのに、この格差はなんなんだと思いました。たかがお金、されどお金。辛いですよね」

その頃、知人の紹介で、東京のイベント関連会社に正社員にならないかという誘いがあった。東京で働くのは10年ぶりだったが、思い切って転職。給料も上がり、企業型確定拠出年金にも入った。さわかみ投信に毎月2万円の積立をして、ボーナスもほとんど全額を投入。毎日お弁当を持参し、あまり服も買わずに節約し、コツコツと投資を続けたら、約3年で総額500万円ほどになった。

金銭的には余裕が出てきたが、遠藤さんの健康不安は、いつまでも解消しない。新しい職場で頑張りすぎたせいか、舌がもつれて動かないという症状が再発したのだ。舌が勝手に動くし、口も開いてしまう。噛めない、食べられないし、酷いときは朝、激痛で目が覚める。とはいえ食事を取らないと、体がどんどん衰弱するので、ポタージュスープを作って飲み、柔らかい肉を噛まずに丸呑みした。

「脳神経の難病だと診断されて、舌に注射を打つのですが、なかなか症状が改善しないんです。副作用もひどくて、よけいにしゃべれない。担当医から、最悪、脳の外科手術を検討した方がいいと言われましたが、それだけは怖すぎて断りました。お腹は減るのに、食べられないのは辛いし、うまくしゃべれないから周囲の人に意思を伝えられない。恵まれないことが多すぎて、すごく悲しくなったし、私はなんでこんなにどん底なんだろうと落ち込みました」

約1年の不調を経て、幸いなことに体調が戻り、今は普通に会話も食事もできるようになったが、いつ発症するかわからない。発症したら、いつ治るのかわからない。

「本当に怖いです。自分はひとり。体はひとつ。時間は有限。休みも必要だし、寝ないといけない。そうすると稼げる天井も見えてくる。だからこそお金に働いてもらうのは絶対に必要です。私にとって投資は心の支えです。まとまった金額があって、景気が良くなれば評価額も上がる。今は新型コロナウィルスの影響で価額が下がっていますが、そういう時はできる範囲でスポット買いしています。私は29歳から投資を始めたけど、本当は23歳からやればよかった。早ければ早いほどいいと思います」

最近、運動不足を反省し、通勤でエスカレーターは一切使わずに階段を上り、毎晩、自宅でのヨガも欠かさない。今は仕事を一生懸命にやって、毎日を大切に生きる。

毎日、笑顔でいるかな? しっかり生きているかな、と時々、ふりかえるんです

36年間の人生は決して楽ではなかったけれど、明日を果敢に生きる彼女の姿は美しい。

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