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野田市小4虐待死事件の「全容」〜全公判を傍聴してわかったこと

家族の限界、残り続ける「謎」

加害性が剥き出しになった裁判

千葉県野田市で当時小学4年生の栗原心愛さんが亡くなった事件で、傷害致死罪等に問われている父親・栗原勇一郎氏の裁判員裁判は、3月9日に結審を迎えた。

筆者は、約一年前から勇一郎氏の親族の支援を行っており、公判全てを傍聴することができた。公判前に、当団体の臨床心理士が勇一郎氏と接見しており、接見禁止が解除された9日、筆者も初めて面会し、その後も面会を続けている。犯人を「異常者」として事件を片付けてしまっては新たな虐待を防ぐことはできない。

本稿では、これまでの報道で伝えられなかった事実と事件から汲み取るべき社会の課題について検討したい。

検察側は、被告の犯行について「筆舌に尽くしがたい壮絶な虐待」「比類なき重い事案」だとして懲役18年を求刑した。

3月19日、千葉地裁が言い渡した判決は懲役16年――。

「犯行態様の異常なほどの陰惨さとむごたらしさ、固着したとも評すべき心愛への虐待意思等が浮かび上がっている」「本件は、量刑傾向を大きく超える極めて悪質性の高い事案であるといえる」として、「死者一人の傷害致死罪全体の最も重い部類と位置づけられるべきである」と判示した。

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本判決は「被告人の意思決定には、酌量の余地などみじんもなく、極めて強い非難が妥当する」と判示したが、弁護側から被告人に有利な情状は全く示されず、筆者は求刑通りの懲役18年を予測していた。

 

弁護側は、傷害致死罪について罪は争わないとしながら「飢餓状態にしたりストレスを与えて衰弱させたことはない。立たせたり冷水シャワーをかけたことはない」など虐待について一部否認し、最終弁論では「しつけが行き過ぎた」「日常的な虐待はなかった」と主張した。

勇一郎氏は虐待について「娘が暴れたので押さえつけた」、夜中に立たせたりしたことについては「娘が自分からやると言った」という主張を最後まで貫き、解剖医や精神科医の証言から、主張の矛盾を何度指摘されても「事実しか話していない」と虐待を認めることはなかった。