日本人の「個人資産額」のヤバい現実…世界水準で見る「低下」ぶり

個人資産は多い…はずだったのに
加谷 珪一 プロフィール

もっとも分かりやすい例が自動車である。自動車というのは典型的なグローバル商品であり、販売価格は日本国内の事情とは無関係に決まる。自動車の平均販売価格は同じ期間で約1.4倍に上昇しているが、日本人の賃金は横ばいなので、相対的な価格はかなり上がった計算になる。

平均的な日本人労働者にとって自動車はもはや高値の華だが、諸外国では賃金や資産額がそれ以上に上がっているので、むしろ自動車購入の負担は下がっている。

資産額の相対的な減少がもたらす弊害

経済はストックとフローが相互循環する形で回っており、フローが増えるとストックも増え、それがさらにフローを増やす効果をもたらす。日本人全員が得る所得のうち、資産からの利子や配当によるものは26%を占めており、決して小さくない。

仮に株式や不動産などを所有していなくても、公的年金は積立金の運用先から得られる利子や配当がないと十分な給付を維持できないし、企業が生み出す利益の一部もこうした利子や配当で成り立っており、最終的には労働者の賃金に結びついている。

資産額が多いほど、諸外国への投資から得られる不労所得が大きくなるので、同じ労力でより多くの金額を稼ぐことが可能となる。

ストックの金額は基本的にその国の長期的な成長見通しに依存するので、足元の経済が好調であれば、資産額も増えるというプラスの循環が発生する。結局のところ、GDPの成長率を高めない限り、豊かな生活を送ることはできず、資産も増えないと考えた方がよいだろう。

 

近年は無理に成長する必要はないといった成長不要論も耳にするが、諸外国が成長してしまえば、日本人の購買力は低下し、社会は貧しくなってしまう。日本人が保有する資産が本格的に目減りしてしまう前に、日本経済を成長軌道に乗せることが何よりも重要である。