愛情を愛情として伝えられないことが

親だってもちろん疲れています、子どもをなんとか育てていこうと必死でない人は少ないはずです。でも、なぜか望ましい結果に結びつかないという場面が少なくないのです。子どもだって、親の気持ちが全部わからないわけではないでしょう。だから大人になって、冷静に客観的に見られるようになっても苦しいのです。

大人同士でもそうで、一方通行の愛、欲望を人に投げ続けるとよくない結果になることが多いのです。投げることが悪いのではなく、長年、一方的に投げ続けることがどうも好ましくない結果を招く。

愛情は、どうしたら、正しく伝わるのでしょうか。一方通行の思いを相手に ぶつけ続けて、倒れるまで訴えれば良いのでしょうか。でも、そんなことをしたら子どもは逃げたくなってしまう、向き合いたいはずなのに親とキャッチボールすらできない。

もう一度言いますが、両親が子どもを愛していて、必死に育てようとしていることくらい、子は痛いほどわかっています。というか、子はそうであってほしいと願う生きものです。ただ、子どもは親の言うことも聞かないものですし、なまいきだし、できないことも多くて、親を困らせるでしょう。けれど、親の気持ちは感じとっています。

子どもを愛していても、うまく伝えられないことが…Photo by iStock

もちろん、もし子どもをひどく傷つけてしまったとしたなら、その行為、やったこと自体は変わらない。子どもの側からしたら、それらをなかったことにするというわけにはいきません。できるとすれば、あった事実に対する解釈を変えることくらいでしょう。

子側が為し得る解釈としては「そのとき親も大変な状況にあったのだろう」「周囲と人間関係がうまくいっていなかったのかもしれない」「あのときは病気だったのだ」「人格的にそもそも問題を抱えていた、かわいそうな人だったかもしれない」などでしょう。また、「自分がいけない子(だめな子)だから、こんなことをされてしまうのかもしれない」とも思うでしょう。

けれど、もしも本当に親がかわいそうな人だったからといって、ほかの人(この場合は子)に危害を加えていいということにはなりません。それを分けて考えられるような大人になるまでに、人間はかなりの年数を要します。なかには考えられるようにならない人もいます、愛情が愛情として伝わらず、形を変えて相手を傷つけることがある。

この問題を解消するにはどうすればいいのだろうと、私はかなり長い間考え、執筆するに至りました。

毒親 毒親育ちのあなたと毒親になりたくないあなたへ』(ポプラ新書)
「パンドラの箱を開けるような気持ちで、本書を書き始めました」そういう一文から始まる一冊。毒親とはなにか、母親のみならず父親の具体例も含めて紹介し、「愛が毒に変わる」仕組みを分析した上で、問題の解決はありうるのかも伝えている。大人になってからも意識することで変えることのできる親子関係とは何か。問題提起からその原因、解決法も綴られている。