常に先回りする祖母

大学の後輩が話してくれた経験が興味深いので紹介します。
  
――自分は中学時代、祖父母の家で暮らしていましたが、祖母がわりとそういうタイプでした。なんでも先回りしてやってしまい「常に先のことを考えているからね、私は」と、自分のほうがうまくできるということを自慢げに口にする人でした。

いうほど先回りできているわけでもないし、すべての想定内の出来事に対して常に準備をしておくことはコスパが悪く、新しいことがやりにくいのですが、スルーする以外にありませんでした。反論しても理解されないから意味がないし面倒くさい。でも、この自慢と一緒に「あんたは気がきかない」「家事に向いていない」とさんざん言われました。ただ、それさえうまくかわしていれば、それ以上いじめられるわけでも攻撃されるわけでもない。だからとりあえず「感謝しています」と応えていました。  

「攻撃」でなくとも、常に否定され続けることで、のちに悪影響が出ることもある Photo by iStock

この祖母は、私が東大に合格したときはたいそう喜んで近所中に言いふらしていました。母はそういうことを外に言うことをよしとしない人。自慢するのはみっともないという考えでしたので、正反対の反応でした。この嫁-姑の対立も子の立場からすると実に面倒で疲れました。

ところでこうした祖母と母の反応は表裏(おもてうら)じゃないでしょうか。 私のアチーブメントに対するわだかまり、意識の大きさという意味では一緒だと思います。祖母も母ももっとフラットに接してくれたらいいのにと思っていました。

もちろん、自分が能力が高いからとか、人並み以上に頑張ったから難関校に入学できたのだ、ただそれだけのことで、祖父母も父母も関係ない、などとおこがましいことは考えていません。祖父母にも両親にも感謝の気持ちというのは持っています。でも、私と両親、祖父母は別人格。私の合格をたいそうなことのように自慢されたり、本当は見せびらかしたいのに必要以上に謙遜されたりすると、どちらにしても過剰な反応に思えてしまって、私はどうしたらいいのかわからなくなり、気まずい思いをします。――――

彼女の場合は、心までコントロールされずに冷静に応じられるだけの余裕があったのがよかったのですが、ことによっては、自立することを妨げられ、自分の判断を否定されつづけて、見捨てられ不安を常に感じつづけることになってしまったかもしれません。