結婚相手をことごとく否定 

母親と彼女の間の大きな問題は、やはり結婚相手を探すときに顕在化しました。彼女がどんな相手を連れて行っても否定されてしまう。最初はなぜ反対されるのかよくわからず、付き合う相手をそのたびに親に紹介していたそうですが、 30 歳を過ぎたあたりでこれはおかしい、と思い、「これは母がもう1回自分の人生をやり直したいのかもしれない」と思うようになったそうです。

ご両親は彼女が物心ついたころからめったに口もきかないほど不仲で、父親は母親を殴る人だったといいます。彼女が中学生の時にご両親は離婚していて、たしかに幸せな結婚だとは言えなかったようですが、その失敗を娘に「繰り返させたくないのか、それとも自分よりも娘に幸せになってほしくない」のか、彼女にはよく分からず、悩んだようでした。いえ、本当は分かっていて、言葉にしたくないだけなのかもしれません。

彼氏があまり途切れたことのない人ですが、 40 代になる今でも結婚していま せん。未婚の人が増えているといわれていますが、母の意思を優先するあまり結婚できないという人は意外と多いのではないかと思います。彼女は、どこの馬の骨とも分からない男性よりも、本当は母親に愛されたいのかもしれません。

コントロールする母

毒になってしまう親のもう一つのパターンとして、「子どもになんでもやってあげる親」がいます。いわゆる過保護です。「子どもはこれをよく知らないから」「子どもにはうまくできないだろうから」「心配だから」と、先回りしてやってしまう。どこへ行くにも送り迎えをしたり、子どもに何かが不足していると思うと、子どもが欲しいと言う前に買ってきてすべて揃えてしまったり。一見、やさしくて情の深い親のように見えるのですが、これが曲者です。
 
母親の愛が濃すぎるが故に、娘に逸脱した行動をとってほしくなくて、あれこれと注文をつけたり、こうしてはいけません、ああしてはいけませんと口うるさくコントロールしてしまう。逸脱した行動をとらせないように先回りして手助けし、これが子にとってはとても息苦しくなってしまうというケースがあります。母親に対して言い返せずにいた娘がある日突然暴力的な行動に出てしまったり、言い返せないまま身体症状に出てしまったりする人もいるのではないでしょうか。

すべて先回りしてセッティングし、自分の枠の中だけで生きるように仕向けてしまう―― Photo by iStock