【戦争秘話】沖縄上空で米軍を迎え撃った男たちの「過酷すぎる戦い」

搭乗員たちが見た「空の沖縄戦」第1回
神立 尚紀 プロフィール

笠之原基地に着陸、機体を点検してみると、不思議なことに1発の被弾もない。岩下は、零戦のすぐれた旋回性能に礼を言いたいような気がしたと言う。

空輸中の零戦五二型乙。かつて無敵を誇った零戦も、昭和20年には敵新鋭機の前に苦戦を強いられていた
沖縄戦当時、日本軍を苦しめた米海軍・海兵隊の戦闘機、グラマンF6Fヘルキャット(上)と、ボートシコルスキー(チャンスボート)F4Uコルセア(下)

その後、岩下は4月16日の「菊水三号作戦」をはじめ、九州各地に来襲する敵艦上機や、大型爆撃機ボーイングB-29の邀撃に出撃。4月29日には三号爆弾(空中爆弾)でB-29を1機撃墜、その巨体がゆっくりと螺旋状に降下しながら霧島山に激突するのを見届けている。

 

5月に入って、岩下以下、横須賀海軍航空隊からの助っ人たちは本隊からの命令でようやく横須賀に復帰したが、その間に数名の戦死者を出していた。

「なぜ空輸隊が、所轄外の航空隊で当初の任務以外の作戦に従事することになったのか、その間の指揮命令がどんなふうに変更されていったのか、いまもって腑に落ちないままです。ここで戦死した部下たちのことを思えばなおさらですよ」