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コロナ危機のウラで法改悪…「働く高齢者」が危なくなりそうなワケ

改正高年法の危うさをご存じですか
竹信 三恵子 プロフィール

高齢者は「労災保険の外」に?

具体的には、起業や、会社が実施したり事業委託や資金提供をしたりしている社会貢献事業で「委託契約」などで働かせるという手法だが、これらについて日本労働弁護団は2月14日、「労働契約でない働き方を容認する高年法改正案に反対する緊急声明」を発表。

3月4日には国会内で集会を開いて、次のような問題点を指摘した。

まず、「雇用による就業の確保」が空洞化されかねないという点だ。

〔photo〕iStock

「雇用」ならば労働基準法や労働安全衛生法、最低賃金法など、働き手を保護する最低限の基準を満たす企業責任が求められる。ところが、「起業」にはこうした責任がない。

選択肢のうち1つを選べばいいとなると、負担を軽くしたい企業は「起業」を選ぶことが予想される。社員が安定的な再雇用を求めても「起業の促進で努力義務は果たした」と言い抜けることもありえる。

「雇用の安定」を銘打った法律なのに、その部分が起業によって追いやられかねないのだ。

 

厚労省の「平成30年労働災害発生状況の分析等」によると、「転倒」による労働災害で60歳以上が39・5%を占めるなど高齢者の労災も少なくない。ところが起業では、労災保険の適用外に置かれてしまう

さらに、「雇用の安定化」策に「起業」が紛れ込むことで、労働者保護のない働き方が当たり前になっていきかねない。

これらは必ずしも「考えすぎ」とは言えない。社員から個人事業主に切り替えることで安全ネットを働き手の自己負担にしたり、最低賃金以下の報酬で働かせたりして人件費を削る労務管理が目立っているからだ。