誰もが陥るパニック。
高齢者はダメだ、ではない

今回の新型コロナウイルスでの買い占め現象は日本だけで起きているわけではない。世界中で、買い占めの連鎖は広まっている。人の脳は危機になると正しい思考ができなくなる性質を持っている。これを「パニック」と呼ぶが、今回の新型コロナウイルスはまさに未知のウイルスであり、未曽有の事態だ。毎日のように、死亡者数が伝えられ、イタリアからは医療崩壊の悲惨な現場が報じられる。高齢者の死亡率が高いと言われれば、親世代の恐怖はさらに募り、自分が信じたいものを信じてしまうという心理学用語でいう「確証バイアス」がかかってしまっても仕方ないのかもしれない。

しかも、ネットでさまざまな情報が入手でき、情報を読み解く力があれば、現状を冷静に判断することもできるだろう。しかし、それを親世代、特に高齢者でネット環境が万全でない人たちに求めるのはあまりに酷だ。さらに、正義感で知り合いの分も買い占めてしまう人は、パニックからスタートした「善意」でもある。若い世代に迷惑をかけないためと親世代なりに考えた「思いやり」ともいえる。

しかし、それによって、本当に必要な人の手元に届かなくなることは、あってはならない。

高齢の家族がいる人は、一度今回の対策について話し合ってみるのもいいかもしれない。「慌てなくて大丈夫だよ。困ったら相談して」「トイレットペーパーに関係する製紙会社の会長が流通させているから1週間で解消できるって会見で言ってたよ」、という一言が、安心を生み、買い占め予防にもつながるのかもしれない。パニックになるのは特別な人なのではなく、もちろん高齢者だけなのではなく、あなたや、あなたの身近にいる人なのかもしれないのだから――。

自分の家族を含めて、買い占めてしまった思いに寄り添うことも必要だろう。その上で、安心できる情報を伝えていきたい photo/getty images