「新型コロナワクチン」中国人民解放軍が世界に先駆けて開発した背景

舞台はやはり「疑惑の研究所」だった…
近藤 大介 プロフィール

ウイルスを巡るアメリカとの戦争

沈黙していた武漢病毒研究所は3月20日になって、「疫病防止の打撃戦に打ち勝つため強大な科学技術手段を提供――武漢病毒研究所は、疫病を防止する科学技術攻撃に関する一連の習近平総書記の重要講話の精神を学習した」と題する発表をした。

同日午前、武漢病毒研究所の共産党委員会が拡大学習会議を開き、習近平総書記が1月25日から3月18日までに発した重要講話の精神について学習を深めたというものだ。

発表文の全文を読むと、武漢病毒研究所が必死に習近平総書記に媚びている様子が伝わってくる。本来なら、習近平総書記の「お言葉」を学習するよりも、コロナウイルスのワクチンを開発することの方が重要だと思うのだが、その主導権は完全に、陳薇少将の人民解放軍チームに奪われたのである。

3月17日には、中国国務院連合防止機構制度の王軍志院士が北京で会見を行い、陳薇少将チームの「成果」の説明を行った。その会見の内容や、中国官製メディアの報道によると、今後のワクチン製造計画は、3月16日から12月31日までを研究期間とする。まずは、4月までに臨床前研究を終了し、臨床実験に入る。

臨床実験では、18歳から60歳までの健康な成人にワクチンを投与し、安全性と忍耐性を確かめる。中国人民武装警察部隊武漢特別勤務療養センターと華中科技大学同済医学院附属同済病院で行う。一組36人、三組に、少量、中量、多量を試し、14日後、28日後、6ヵ月後の経過を検測する。

これは西洋医学の領域からの研究だが、東洋医学の領域からも、研究を急ピッチで進めている。いま中国の医学界で、まことしやかに囁かれているのは、次のような話だ。

「広東省傘下の漢方薬研究機関が、『肺炎一号』という新型コロナウイルス肺炎の特効薬を開発した。すでに臨床実験を行ったが、94.21%の有効性を示した。

だが、このことは公開しない。なぜなら公開したらたちまち特効薬を巡る奪い合いが始まるからだ。中国政府は『肺炎一号』を、『ウイルスとの戦争』の強力な新兵器にしようとしている」

いずれにしても、中国は国を挙げて、西洋医学、東洋医学双方の分野から、一刻も早く特効薬を量産しようとしている。

 

そんな中国の様子を見ていると、いまや「ウイルスとの戦争」というより、「ウイルスを巡るアメリカとの戦争」の様相を呈している。

「今回の災厄を奇禍として、何としてもアメリカより先に特効薬を量産して、人類運命共同体をスローガンに掲げる中国の習近平政権が『世界の救世主』の役割を果たす」――そんな中国の強い意志を感じるのである。中国は特に、感染が拡大しているヨーロッパを取り込みたいという思惑があるように思われる。