「コロナほどの大暴落も悠然と構えればよし」バフェット流投資の秘訣

定価=本質的価値で買い時が分かる
大原 浩 プロフィール

市場下落を予想してもバフェットは株を売らない

固定概念で言えば、株価の急落を予想しているのに持ち株を売らないのはばかげているということになる。1万円の値段のものが5000円に下がると予想しているときに8000円で売れるとしたら、「売らないやつは馬鹿だ」ということになる。

しかし、このように考えている限りバフェット流は理解できない。

まず第一に、今回の武漢肺炎ショックでもそうだが、バフェットは事件が起こった際のインタビューで「今は売るときではない」と答えるのが常だ。

考えたら当たり前で、「安く買って高く売る」ためには、市場価格が下げ基調の時に持ち株を売却するのは愚の骨頂だ。バフェットが、後述する「企業の本質的価値の変動」以外の理由で持ち株を売るのは、市場がバブルで過熱して異常な高値になった時だけである。

だから「市場が熱狂しているときには慎重に、悲嘆に暮れているときには大胆に」行動するバフェットは、「安く買って高く売る」ことができるのだ。

「昨日よりも値段が下がったから安い」と考える人々は「永遠にわからない人々」の仲間入りをすることになる。

もちろん、バフェットの運用資産が巨大で、市場下落の際に売却するのが難しいということもある。しかし、それ以上に、「自分の持ち株の評価がどんどん下がっている。いつ売ったらいいだろう?」とあたふたしていれば「市場の混乱こそ絶好のチャンス」と果敢に攻めることはできないということなのだ。

よく「ながら運転」という言葉が使われるが、正確に言うと「人間の脳(意識)は1度に2つ以上のことを処理できない仕組み」になっている。つまり、マルチタスクではなくシングルタスクなのだが、運転をしているときには運転だけ、携帯電話で会話をしているときには会話だけしか処理できない。

「ながら」に見えるのは、超高速で2つの作業の切り替えが行われているに過ぎない、あるドキュメンタリー番組で、安全なコースで、携帯電話を通じて簡単な足し算、引き算の計算をドライバーにしてもらう実験を行ったが、もちろん結果は悲惨であった。

 

同じように、「売り」のことを考えながら「買う」ことを考えることはできないから、バフェットは「今は売る時ではない」と売りを封印して、バーゲン価格で買うことに専念するのである。