「私の財力・権力で自分を守る」

北朝鮮に不時着し、ジョンヒョクに匿われている間、セリが泣くシーンは少ない。地雷だらけの草原を全力で走って逃げる時も、軍部に見つかり銃をつきつけられた時も、泣かず冷静に対処しようとする。芯の強さが現れている。

『愛の不時着』より

物語の後半、ジョンヒョクと隊員たちはある目的で南(韓国)に秘密裏に入国する。セリはソウルで親の助けを借りず起業し上場までしている。住まいは市内のタワーマンション、お金は使いきれないほどある。北にいる時に自分を守ってくれたジョンヒョクと隊員たちを、セリは喜んで経済的に支える。

『愛の不時着』より

美人でお洒落で金持ちで高飛車というセリの表層からは気づきにくいが、彼女はとても強い女性だ。自分の命を狙う北朝鮮の軍人が近くに来ており、セリを守るためにジョンヒョクがソウルに留まろうとすると、こう言う。「ここは私の世界よ。私は自分の財力、権力すべてを動員して自分を守る。私を信じて」。実際、セリはジョンヒョクが自分を守ってくれたように、自分の命を投げ出して彼を守ろうとするのだ。

ヒーローは強いだけでなくケアに徹する面を持ち、ヒロインは美しいだけでなく経済的に自立しており、ヒーローを守る強さを持っている。2人の主演俳優が見せる素晴らしい演技力に加え、ジェンダー・ステレオタイプを覆すキャラクターの魅力が、古典的な「愛」をモチーフにしたドラマを格段に面白くしている。