「僕、作る人 私、食べる人」

リ・ジョンヒョクの献身と愛情は、ハリウッド映画のように派手なアクションより、むしろ静かで日常的な行動を積み重ねるシーンが心に響く。パラグライダーで不時着し軍事境界線を越え、勝手に北朝鮮に入ってきたユン・セリをどう扱うか。国境警備を担当する第五中隊を率いる彼の任務に照らせば答えは明らか。「抹殺するべき」だ。

しかし、彼は彼女を殺さず、保衛部(秘密警察)に通報もしない。それどころか、自宅に匿い「食べものが欲しい」というセリの要求に応え、すぐに食事を作る。麺を打ち、茹で、スープを作り野菜と卵焼きを添えて出す。「私は1日2食、お肉を食べるの」と言われたら、貴重な食料から肉を出して焼いてやる。セリが二日酔いになれば「豆もやしのスープ」を作る。ソウルに戻りたがるセリが「来週は江南のカフェにいたい」と言えば、市場でコーヒー豆を手に入れ、自宅で焙煎してひき、長年使っていなかったネルドリップの器具を出してコーヒーを淹れてやる。

『愛の不時着』より

頻繁に停電し、システムキッチンなどない北朝鮮の国境に近い村でこれらは大変に手間のかかる労働だが、それをジョンヒョクは眉一つ動かさずやってのける。それを時に部下である第五中隊の隊員たちが手伝う。セリは食べているだけのシーンが多い。まさに「僕、作る人 私、食べる人」である。