新型コロナが欧米社会を破壊…「日本モデル」は成功するのか

自由主義社会の真価が問われている
篠田 英朗 プロフィール

公務員への一律現金支給はいらない。それよりもイベント回避に伴う経済負担を甘受する人々への重点的な経済支援も導入すべきだ。

自発的にイベントを中止した者が損をして、強行した者が得をするのは、どう考えても不公平である。「政府がお願いしているのだから、自己責任で、察して行動しろ」という「忖度」要求を、政府が堂々といつまでも続けているのは、おかしい。

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「児童生徒や学校の教職員については、学校現場で感染リスクに備えるとともに、学校外での生活で感染症の予防に努めていく」(『分析・提言』13頁)。学校教育の再開は、そのような自助努力への支援とセットになるはずだ。

長期戦に備えるためには、閉鎖か再開かの二者択一だけではもたない。「三条件」回避する運営方法の導入や、オンライン化の拡充という課題もある。

「ガイドライン」作りに政府が熱心になっているという報道はあるが、現場の学校教員の負担軽減を図る支援策を準備しているという報道が見られない。管理して政府の責任免除の口実を作ることではなく、現場を支援することに熱心になってほしい。

 

課題はたくさんある。いずれにせよ、為政者が、無名の人々の努力の上に安住していることがあっては、すべては水泡に帰する。いかに社会インフラや国民意識が高くても、献身的に努力している者への称賛を忘れ、支援方法の整備を怠るならば、やがて「日本モデル」は、消え去ってしまうだろう。

「日本モデル」は、自由主義世界の維持という文明論的な課題にも、大きく関わる。危機対応と日常生活を両立させて自由主義社会を維持する方法を、もっと真剣かつ具体的に考えていきたい。