新型コロナが欧米社会を破壊…「日本モデル」は成功するのか

自由主義社会の真価が問われている
篠田 英朗 プロフィール

この「日本モデル」は、欧米諸国をはじめとする諸外国が導入している措置と比べたら、格段に穏健な措置である。そうだとすれば、今後、諸国が規制を段階的に緩和していく際に、「日本モデル」の試みは重要な参考事例になるはずだ。

日本国内でも、すでに「コロナ疲れ」が目立ってきている。全面的な努力の継続は望めない。だが、それでも、この「密閉・密集・密接の回避」だけは意識してほしい、そこを強調するのが「日本モデル」の戦略になる。

日本の命運が、あるいは諸国の命運も、この戦略の成否にかかってきている。

努力する人を支援する

「密閉・密集・密接」回避をお願いしている間に、政府がするべきなのは、努力をしている人々を支援することだ。「お願い」するだけでは、やがて皆が疲弊して、終わってしまう。

まずは現場でクラスター対応などに追われている関係者への特別な支援を導入してほしい。病院への過剰負担による医療崩壊の心配が頻繁に語られている。だが、保健所崩壊などの危険はないのか。支援策は導入され始めているのか。あまり議論されていない。

それどころか、「専門家会議」による「感染者、濃厚接触者とその家族、この感染症の対策や治療にあたる医療従事者とその家族に対する偏見や差別につながるような行為は、断じて許されません」(14頁)という訴えすら取り上げられることがない。どういうことなのか。

 

またマスクや消毒品などの流通管理や新規生産所の開拓、そして優遇的供給なども検討すべきだ。

自発的に「咳エチケットや手洗いなどの基本的な感染症対策の徹底」(『分析・提言』13頁)をする国民一人一人の自助努力を阻害する要因を、政府は放置し続けている。

だがもう時間的に限界だ。ウイルス対策の努力は「自己責任」が原則になっていて、意識が高い者に負担が大きく、無責任な者には負担がない。だが、これでは持続性がない。やがて全員が無責任になる。