コロナショックはリーマン級「全国民10万円給付と消費減税」が必要だ

「ショボい対策」では乗り切れない
髙橋 洋一 プロフィール

麻生財務相の懸念は当たっているか?

それでも日本の危機感は相変わらず鈍い。3月19日、麻生太郎副総理兼財務相は、経済対策について、「現金給付や消費減税は財務省で検討していない」と否定的な見解を示している(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200319/k10012339661000.html)。

そのロジックは、リーマンショック時に現金給付の効果があまりなかったことと、赤字国債の増発を懸念している、というものだった。

リーマンショック時に財政政策があまり効かなかった理由は、本コラムで何度も書いている通り、財政政策(含む減税、給付金)とともに大規模な金融緩和を行わなかったこと、そして財政出動の規模がショボかったことだ。

前者については、マンデル=フレミング効果があるからだ。これは、学部や大学院レベルの経済学で厳密な数式を含めて習うが、原理をかいつまんでいえば、国債発行をすると、国内金利が海外と比べて高くなりがちなので、自国通貨が高くなるというものだ。そこで、国債発行による財政出動(含む減税、給付金)で内需を拡大しても、為替高で外需が減少するので、財政出動の効果が減殺されてしまう。

マンデル=フレミング効果については、提唱者のマンデル氏のノーベル賞受賞業績にもなっているくらいなので、時代を超えて古今東西で事例が見られる。例えば、日本が東日本大震災後、大規模な財政出動をした際、円高に見舞われたのは好例だ。

 

こうしたメカニズムがわかっているので、財政出動と同時に金融緩和をすれば、国内金利は落ち着き、自国通貨高にならずに財政出動の効果がそのまま発揮される。

現在、政府与党で検討されている経済対策では30兆円という数字が出ているが、よく見れば、これは「事業規模」だ。いわゆる「真水」ではなく、数字がかさ上げされているので、GDPへの効果はそれほどでもない。「真水」だとおそらく30兆円の半分にも達しないだろう。

麻生財務相は、そもそも今回のショックがリーマン級であるという認識すら危うい。もしリーマン級であることを認めると、安倍首相が「リーマン級の出来事がない限りは消費増税する」と述べていたことと関連してしまうのを気にしているのだろう。