日本が韓国の「新型コロナ対策」を参考にできない政治的事情

中国とは連携できても、韓国とは…?
牧野 愛博 プロフィール

韓国の対策は参考になるはずだが…

一方、日本は「一般医療の崩壊を防ぐ」(与党の厚生族議員)ため、PCR検査を抑制している点が否めない。ただ、北海道で集団感染が起きた際には、「無症状の人が外を出歩くことを防ぐため、もっと検査を実施した方がよい」という声が政府内や専門家の間から起きていた。

「一般医療の崩壊を防ぐことのできる範囲で、できる限りの検査」とはどの程度のものなのか。その場合、日本と同じように国民全員が医療保険に加入し、病院での治療を受けやすい環境が整っている韓国は参考になる。欧米などと異なり、韓国は日本と同じように誰でも気軽に病院を訪ねるため、その需要に応えられるよう病院などの診療環境が整っているからだ。

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感染者が急増した大邱(テグ)では、病院のベッドが不足する事態が生じたが、「医療崩壊」までは至っていないようだ。同時に、韓国でも今後のさらなる感染拡大に備え、無症状の人に対しては検査を控える動きも始まっているとの情報がある。

ただ前述の通り、日韓間ではこうしたお互いの状況について緊密にやり取りする状況には至っていない。韓国が実施して注目を浴びた「ドライブスルー検査」について、日本政府が正式に導入するという動きもまだない。逆に新型コロナウイルス感染患者の治療薬として有効性が臨床実験で確認されたと伝えられる、富士フイルムのグループ会社が開発した新型インフルエンザ薬「アビガン」について、韓国政府が導入しようという動きもないようだ。

 

日韓交流の問題は新型インフルエンザだけにとどまらない。日韓両国は現在、米国との間で在日・在韓各米軍の駐留経費の負担について厳しい状況に置かれている。