コロナ感染で「パニック」にならなかったシンガポールと日本の大違い

一番違うのは「日常生活の風景」
岡村 聡 プロフィール

一番違うのは「日常生活の風景」

私は毎月のようにシンガポールと東京を行き来していますが、両国において感染が拡大する中で最も差異を感じるのが日常生活の風景です。

上記のように感染予防策としてのマスクの限界が繰り返し発信されていることで、シンガポールの街中でマスクを着けている人は1割以下しかいません。

一方、東京では2月後半から街ゆく人のほぼ全員がマスクを着用している一方、満員電車などで極めて高い人口密度が発生していることは、感染防止の観点から本末転倒にうつります。

〔photo〕gettyimages

また、シンガポールでは手洗いをきちんとして、目を中心とした顔を不用意に触らなければ高齢者以外の感染リスクは低く、さらに感染しても重症化する割合は少ないことが強調されていて、上記のようなプロトコルを守り日常生活を変えずに営むように奨励されています。

もちろん、普段よりは観光客が少ない分、飲食店などの混み具合は緩和されていますが、繁華街がゴーストタウンのようになっている東京と比較すると、経済的なダメージも軽微に済みそうなことは一目瞭然です。

 

消費税アップにより19年10‐12月期のGDPが年率換算で前期比-7.1%となるなど景気後退が発生している日本経済ですが、ここに20年1-3月期は新型コロナによる自粛の影響が加わり壊滅的な経済指標が4月以降に次々と発表されてくるでしょう。

日本では3月22日時点で死者が37名と、先進主要国の中でも少ない人数にとどまっています。しかし、このまま、自粛ムードが続き不況が深刻化していけば、過去の景気後退時のデータを参照しても数千人もしくはそれ以上の経済的な自殺者が増えてしまう事態も十分に考えられます。

個人で出来る有効な感染対策を行いながらも、本格的な不況を招かない程度に日常生活における自粛をコントロールしていくという困難な舵取りを日本政府は今後迫られるでしょう。その際に、特に大都市部においてはシンガポールのこれまでの一連の新型コロナ対策が、感染対策としても情報発信のあり方としても、経済的な反動を招かない上で大いに参考になるでしょう。