「下駄をならして奴がくる〜♩」かまやつひろし『我が良き友よ』秘話

Char×泉谷しげる×亀渕昭信
週刊現代 プロフィール

Char 歌詞もそうだけど、元々のメロディーは非常に拓郎さんらしい。「俺とおんなじあの星みつめて何想う」の「何想う」の部分は、いかにも拓郎さんらしい音程です。

でも、かまやつさんがアレンジを加えると、一気にかまやつさんのサウンドになった。例えば高中正義が弾くイントロのギターなんか、フォークというよりロックです。

泉谷 どんな音楽にも対応できるから、かまやつさんは「カメレオン・アーティスト」なんて言われていたな。CMソングやアニメの主題歌なんかもできる。

アニメ『はじめ人間ギャートルズ』のエンディングテーマだった『やつらの足音のバラード』('74年)なんて、子供相手の歌とは思えないほどよくできている。何をやらせてもサラッとこなしてしまうから、世間には凄さが伝わらないんだよな。

亀渕 しかも、活動していた半世紀近くの間、どんなミュージシャンとも貪欲につきあっていたのも偉いよね。決して驕ったりはしなかった。誰に対しても「です・ます」調を崩しませんでした。

Char 晩年は15歳のギタリストとセッションしていました。年代的には孫ですよ。彼に対しても敬語で喋る。年齢なんかに関係なく、かまやつさんは音楽の才能がある人を尊敬していました。

亀渕 自分が大御所にならないよう注意していましたね。彼と生前に対談したとき、若い頃に戻れる薬があるなら全財産を払ってもいい、と言っていた。

年を取って知識も増えるしテクニックも身につくけど、若い時の情熱とか鋭い感性は失われる。それが自分で悔しかったのだと思いますね。

 

だんだん好きになる曲

泉谷 亡くなる10年くらい前から一緒にライブで巡業していました。20回以上やったけど、常に新しい音楽を追い求めていた。かまやつさんは、「ロックの人」とか「フォークの人」という枠にはめられるのが嫌だったんだろうな。

亀渕 それに、かまやつさんはミュージシャン仲間にすごく慕われていましたね。この業界でかまやつさんのことを悪く言う人を見たことがない。

泉谷 ユーミンとかまやつさんと3人で飲み食いした時期があったんだけど、ユーミンも「かまやつさんは日本のポップスを支えた」と言って手放しで尊敬していた。

作詞・作曲においてひとつの時代を作った人なのは間違いないよ。自分で作って歌うという点でも、加山雄三さんと並ぶくらいの偉大なミュージシャンだと思うよ。