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日本電産・永守会長、やっぱりあなたが社長をやるべきです

他の誰がやっても、うまくいきません

一代で会社を大きくした経営者に必ずついてくるのが後継者問題だ。日本電産もご多分に漏れず「永守氏の次」が現れない。4月に就任する新社長は、その悩みを解消できるのか。それとも……?

「最大の失敗」

〈羊をして狼に将たらしむ〉

一匹の羊が狼の群れを率いた集団より、一匹の狼が羊の群れを率いた集団のほうが強いことを説いた故事成語だ。組織において、リーダーがいかに重要かの喩えとしてよく使われるが、いま、ビジネスの世界で「誰を狼にすべきか」に頭を痛めている人物がいる。

売上高約1兆5000億円を誇る巨大メーカー・日本電産の創業者である永守重信会長(75歳)だ。

「創業以来の最大の失敗だった。これからは新社長と私の2人に権限を集める体制に改める」

去る2月4日に行われた日本電産の記者会見の場での、永守会長の発言が波紋を呼んでいる。

永守氏のワンマン経営で知られる日本電産。後継者の不在が長年の懸案事項だったが、副社長の吉本浩之氏(52歳)が後任に抜擢されたのは'18年6月のこと。

Photo by GettyImages 吉本浩之氏

永守氏は会長に退き、吉本社長と各部門の責任者が集まって重要課題を協議する「集団体制」が敷かれた。

その改革を永守氏は1年半で「失敗」と言ってのけたうえ、吉本氏は副社長に〝降格〟。日産から、副COOに任命されたばかりの関潤氏(58歳)を引き抜き、新社長にする人事を発表した。

 

「同じく日産からやってきた吉本さんの社長就任時には、永守さんは『彼ほどの仕事好きはいない。自信もやる気もある。彼しか後任はいない』とベタ褒めだった。

吉本さんが海外に出張する際には永守さんも同行して、交渉のやり方や要人とのつきあい方について手取り足取り教えていた。そこまでしたのに、わずか1年半でその体制を『失敗』と切り捨てたのだから、驚きました」(日本電産の現役幹部)

短期間であろうとも、選んだ責任が自分にあろうとも、ダメだと思ったらすぐに切る――この判断の速さと非情さこそ永守氏の真骨頂ともいえる。