1時間超にわたって語った佐藤氏。みずほFG大手町本社にて
# 米中貿易戦争 # 新型コロナウイルス # 日本株

みずほ佐藤会長「コロナ後に生き残る『4つの技術&産業』はこれだ」

日本は果たして勝ち残れる…のか?

昨日までの勝ち組があっという間に負け組に転落し、明日にはまったく新しい勝ち組が台頭する――いま世界中のさまざまな業界、業種でそんな「産業地図」の塗り替わりが巻き起こっている。AI(人工知能)などの新しいテクノロジーが既存産業の秩序を壊し、デジタルに長けた新興企業が続々とマーケットシェアを奪っているからだ。

覇権国を目指す中国は、今回の新型コロナウイルスの感染拡大で、感染の発生や拡大をめぐる情報を意図的に隠したとの疑念の目が世界中から向けられる一方、共産党一党独裁の強権的なパワーとAIなどのテクノロジーを駆使して早期にパンデミックの抑え込んでいるという見方も出ている。

では、これから10年、20年後に生き残る技術や産業とはいったい何なのか――今回、金融界きっての論客として知られる、みずほフィナンシャルグループ会長の佐藤康博氏と、新作小説『よこどり 小説メガバンク人事抗争』で、メガバンクの未来や組織の在りようを独自の視点で描き出した作家の小野一起氏が緊急対談を敢行。産業の未来について、日本の生き残り方について語り明かした。

佐藤氏(左)は「これからは技術の四隅を押さえられるかが重要」と指摘する

対談撮影/岡村啓嗣 編集協力/夏目実侑

AI(人工知能)で先行する中国のジレンマ

小野 健康や命は、何よりも尊いので、医療の進歩のためという名目が立つと個人情報保護のハードルが下がりやすい。世界からの批判もかわしやすいので、中国が、10億人を超える人々の個人データをフルに活用して、医療技術で世界に先行する可能性があります。

新型コロナウイルスの感染対策についても中国では政府が、スマートフォンの位置情報から感染エリアに立ち寄った人を特定、体温や行動を追跡しているという指摘すら聞かれます。さらに、飲食店の営業自粛等が法的に「要請」ベースである日本に比べて、中国は共産党一党独裁の強権的な力で、武漢の都市封鎖に乗り出し、パンデミックの封じ込めに効果を発揮したとの見方も出ています。

その一方で、アメリカのペンス副大統領が、米テレビのインタビューで「中国がもっと協力的だったら、私たちはもっと感染対策をうまくできた」と批判したように、新型コロナの感染拡大リスクを早期に世界に発信しなかった中国の情報発信への批判が世界中で高まっています。大統領選が近づけば、トランプ大統領が、中国批判のボルテージを高めると指摘する米政治の専門家も多いですね。そういう意味では、今回の新型コロナの感染拡大は、中国の共産党一党独裁の強みと弱みを同時にあぶり出したと言えそうです。

佐藤 ソ連の社会主義体制が崩壊して、なぜ中国が崩壊しないのか。鍵はテクノロジーにあります。多くの人はそのうち人民が蜂起して、共産党の一党独裁体制は崩壊していくと指摘します。ただ、それは幻想にすぎません。

かといって、中国の体制が万全というわけでもないと思います。たとえば、いま中国が目指しているAI(人工知能)をフル活用した社会システムの本質は、テクノロジーを活用した高い生産性を持つ社会です。これは別の見方をすれば、「より人間を必要としない社会」です。13億人もの人口を抱えている中国が人のいらない経済を作ってしまったら、何が起こるでしょうか。

毎年300万人も生み出される大学卒業生の職がない。若者に職がない世界では、格差がさらに拡大します。それが今後の中国にとって最大の課題となるでしょう。

 

小野 一方で、労働人口が減少する日本は、省力化のためのAIの導入については、社会的な摩擦が小さい国と言えますね。職が奪われれば、AI破壊運動が起きかねません。その点、日本には、意外な追い風が吹く可能性もあります。少子高齢社会を迎える日本は、課題先進国として、省力化の面で世界に躍り出るチャンスもありそうです。