海上自衛隊にとって7隻目のイージス護衛艦「まや」が19日、横浜市のジャパンマリンユナイテッドから防衛省に引き渡された。自衛隊としては初めて共同交戦能力(Cooperative Engagement Capability=CEC)システムを搭載した武器となり、米軍との連携のあり方によっては、憲法で禁じられた「武力行使の一体化」の問題が浮上する。
もともと海上自衛隊と米海軍の戦闘艦艇は、「リンク11」や「リンク16」と呼ばれる戦術データ交換装置を搭載し、互いにレーダー情報などをやり取りしている。
例えば、海上自衛隊の護衛艦が入手した情報は、そっくり米海軍の空母や駆逐艦の戦闘指揮所の画面に映し出される仕組みとなっている。
このため、米国によるアフガニスタン攻撃の際、テロ対策特別措置法でインド洋に派遣されたイージス護衛艦「きりしま」と米艦艇との情報交換をめぐり、野党から「イージス護衛艦がCECを搭載しているとすれば、集団的自衛権の行使にあたるのではないか」との指摘があった。
これに対し、当時の石破茂防衛庁長官は「(CECは)米海軍においても研究開発段階であって、まだ実用化されていない。当然私どものイージス艦もこのようなCEC能力を保持はしていないということだと、私は現在思っております。このCECというものが入ってまいりましたときには、また議論は当然違ってくるのだろうと思っております」(2002年11月21日参院外交防衛委員会)と答弁している。
石破氏は、CECが未完成であることを理由に議論の深入りを避けたが、すでに米軍がCECを完成させ、米艦艇ばかりでなく自衛隊のイージス護衛艦にまで搭載された現在、石破氏のいう通り「議論は当然違ってくる」はずである。