不倫に理想を見る男と、現実を見る女

先程のもの以外にも、男のために自ら身を引く女を描きつつも、《あなたの心奪う》《永遠の絆》などといったパワーワードが繰り出される竹内まりやの「純愛ラプソディ」、相手の男にちょっとしたトラップを仕掛け困らせる、柏原芳恵の「ロンリー・カナリア(中島みゆき作詞)」など、女性が描く、男性にとって脅威になり得るような不倫ソングはいくつもある。

「純愛ラプソディ」を収録しているアルバム「Impressions」
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正に不倫の理想と現実。もしくは持てる者と持たざる者の違いというべきか。いずれにせよ、不倫という恋愛によって背負う罪と罰といったものを女性の詞からはひしひしと感じるのだが、上に挙げた男性の詞からは罪を感じても罰があまり感じられない。この傾向は、世の既婚男性と独身女性の不倫における、男性と女性の心理をそのまま反映しているかのようだ。

不倫はハマればハマるほど、誰かの人生に消えない痕を残す。だからこそそれを歌にするなら、そしてアーティストとして愛を表現するなら、甘いキレイゴトの下にある孤独な現実にも目を向けて欲しいと個人的に思う。

自身の孤独と向き合う覚悟のない人間が不倫をしても、そこには破滅しかないからだ。例えば僕の父がそうだったように。