2月27日に突如要請され、全国でも多くの学校が休校となっている。校庭も封鎖されて遊ぶ場所も限定されている子どもたちにとっては、家にこもるしかない状況だ。この膨大なる時間をどうしたらいいのか。途方に暮れている人もいるかもしれない。

ジャーナリストの島沢優子さんは、長く教育の現場を取材してきた。自分たちが「された教育」だけではなく、正しい知識をもつことが重要だと感じるようになる。「子どもが本当に伸びる子育て」とは何か。それを伝えていく連載の21回。島沢さんが今回取材した現場は、まさに休校を「生かして」子どもたちを伸ばすために行動し、新しい教育方法の可能性を広げた公立小学校教師の姿だった。

子どものいない教室で始まる「授業」

午前9時。子どものいない教室で、楽しい朝の会が始まる。
ピンポン。
「お、早いね。おはよう!」
ピンポン。
「おはよう! チャット見ながら、昨日やったこととか、今日やろうと思っていることを書いてて」

パソコンから聞こえるピンポンは、児童がチャットに「入室」してくる音だ。入室してくる子どもたちに声をかけるのは、東京都小金井市にある市立前原小学校で5年生の担任を務める蓑手章吾さん(35)。新型コロナウイルスの感染拡大で学校が3月2日から休校になって以来、5年生全員に向けたインターネットを通じた授業を行っている。

「せんせー!はいれました!」新しい「授業」に入ることも「挑戦」だ 蓑手さんのnote「ミノテショーゴnote」より

2台のパソコンを駆使しながら、蓑手さんが声をかけるが、チャットにはこの日午前の学童保育の見守りに駆り出された他2クラスの担任教諭二人も合流。遠隔で、子どもに声をかけるなどサポートする。

笑顔で子どもたちと話す蓑田さん 撮影/島沢優子

朝礼のバックナンバーはBack numberの『ネアンデルタール人』。蓑手さんのスマホから軽快な音楽が流れるなか、蓑手さんは終始笑顔。画面に現れる子どもたちも楽しそうだ。子ども部屋だったり、リビングだったり。
「その後ろにある白いのは何?」
朝の会の開始時刻まで、子ども同士でたわいのないおしゃべりが続く。

「おはようございまーす!」
9時になると、蓑手さんと子どもたちの声が教室の中に響く。
まずは健康チェック。
「みなさん、今日の健康状態を〇△✕で教えてくださ~い。おお、でっかい丸だな。みんな元気ですね」