みずほ佐藤会長が断言「銀行界は根こそぎ『変わる時代』に突入する」

これは日本の死活問題になる
小野 一起 プロフィール

金融「デジタル化」の功と罪

小野 では、技術進歩は、金融をどう変えるでしょうか。ブロックチェーン(分散型台帳)ができ、デジタル上に改ざんできない信用情報が残っていくようになると、銀行のお金の貸し方にも本質的な変化が求められると思います。

佐藤 確かに、その通りです。まず始めに良い面からお話しましょう。昔はバランスシートを見てお金を貸していました。担保になる土地や建物や機材があるか、さらに経営者の資産内容を見て、個人保証を取ることが銀行員の基本でした。しかし、テクノロジーが進むと、バランスシートだけでなく、キャッシュフローを軸にした貸し出しができるようになりました。つまり、どれだけ稼げているのか、といったお金の流れが重要なのです。

〔photo〕iStock

みずほ銀行は、ソフトバンクと提携してJ.Score(ジェイスコア)というお客様の情報をAIで解析してお金を貸すビジネスも始めました。多くの中堅中小企業や個人は、大きな資産を持っていません。すると社長の個人保証を取って、事業に失敗したら一家離散という悲劇も起こりました。しかし、現在は仕入れのキャッシュフローと販売のキャッシュフローのデータを秒単位で取得することが可能になり、かつてなら10万円単位のお金を借りるのが大変だった中小企業でも、きちんと儲けていれば、1000万円でも貸せるように変化しました。これはAIがなければ、できなかったことです。

小野 AIの力を借りて、担保主義からの脱却が進み、企業の経営を見て融資できる目利きとして銀行の力が高まっているわけですね。ただ、企業や政府に、個人のデータが握られることには大きな危険もあります。

 

佐藤 まさに、そうです。銀行が個人のキャッシュフローのデータをすべて手中にすることになります。例えばみずほフィナンシャルグループは2400万人の個人口座を持っています。口座のお金の動きをAIで分析すれば、家族構成から、その人の生活まで、ある程度わかってしまいます。例えばANAやJALのようなエアラインの顧客データと、JTBのような旅行会社の顧客データを合わせれば、その人に合った最適な旅行プランを提供できるようになるでしょう。これはとても利便性の高いことです。

ただ、個人情報が勝手に使われる可能性がある点には注意が必要です。企業から別の企業に個人情報が移る移動権も大切です。利便性だけを重要視すると、ある日、事故が起きる可能性だってあります。