インタビューに答える佐藤会長。みずほFG大手町本社にて

みずほ佐藤会長が断言「銀行界は根こそぎ『変わる時代』に突入する」

これは日本の死活問題になる

デジタル技術が急速に進展する中、いま銀行業界がかつてないほどの大きな変革を迫られている。そこへきて中国や米国ではデジタル技術を駆使した新たな金融プレイヤーが続々と誕生しており、日本ではメガバンクすら安泰とはいえない状況になってきた。
そうした中、金融界きっての論客として知られる、みずほフィナンシャルグループ会長の佐藤康博氏と、新作小説『よこどり 小説メガバンク人事抗争』で、メガバンクの未来や組織の在りようを独自の視点で描き出した作家の小野一起氏が緊急対談を実施。「これからは金融だけではなくて全産業が根こそぎ変わっていく」――佐藤氏はそんな驚きの内容を語り始めるのだった。

撮影/岡村啓嗣 編集協力/夏目実侑

金融業界も全産業も「根こそぎ」変わる

小野 これまでの雑誌やウェブ上でのインタビューなどを見ると、佐藤会長は世界的に注目を浴びた『サピエンス全史』を書いた歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ (Yuval Noah Harari)の考察に着目されていますね。実は、私もハラリの著作に大きな影響を受けました。

佐藤 そうなのですね。実は最新作の『21 Lessons』が出版される前に、河出書房新社さんから送っていただいて、刊行前から読んでいたぐらいハラリのファンです。

小野 『サピエンス全史』では人類の過去が、『ホモ・デウス』では未来が壮大なスケールで読み解かれています。その一方で『21 Lessons』は、我々が生きている現代が、大胆な視点で描き出されていますね。

佐藤 『21 Lessons』は今、20冊くらい手元に持っていて、読んでほしい人に配っているのですよ。

小野 ハラリの指摘で、僕が注目しているのは、AI(人工知能)というアルゴリズムが自分自身よりも自分の欲望を知っている状態になると、人間はどうなってしまうのだろうという問題提起です。人間は、自己の感性を研ぎ澄ませ、互いに協業することで、歴史を発展させてきました。科学技術も経済も、自己の感性や欲望を原動力に成長させてきたわけです。

自分が、どんな服が好きで、何を食べたら満足で、どんな相手が好きなのか。それを判断する時に、自分の感覚より、AIに聞いた方が、適切な回答が出されると多くの人が考えるようになった時、いったい人類に何が起こるのか。このハラリの指摘に重みと不気味さを感じます。

佐藤 確かに、そこは重要ですね。

小野 佐藤会長は、人間がAIに依存する状態を“自己の喪失”というキーワードで表現しています。そんな世界が訪れた時、銀行は、どんな役割を果たしうるのか、もっと言えば、どのような形が残りうるのか。このことを、お聞きしたいです。

 

佐藤 これからは金融だけではなくて全産業が根こそぎ変わっていくと思います。現代から将来を見渡して考えたときに、デジタル化が圧倒的に進んでいくわけです。そして、そのベースにはデータがあります。

なので、データをだれが握っていくのか。それが大きなテーマです。