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関電事件、日産よりもひどいガバナンスと「モンスター」の頭の中

第三者委員会報告書の全容が示すこと

金品受領者の数が激増

関西電力のあきれるほど非常識なコーポレートガバナンスの実態が明らかになった。

関電の原子力発電所が立地する福井県高浜町の元助役、故森山栄治氏から同社役員らが多額の金品を受け取っていた問題を調査していた第三者委員会(委員長=但木敬一元検事総長)は14日、報告書をまとめ、その全容を発表した。

福井県の関西電力高浜原発(Photo by gettyimages)

第三者委員会によると、金品の受領は森山氏が助役を退任した1987年から始まったとされ、2018年の金沢国税局による税務調査によって発覚するまで続き、受け取った関電役員らの数は75人、総額は約3億6000万円相当だった。今回の調査で対象者と期間を拡大させたことにより、18年に関電が行った社内調査に比べて受領者は52人も増えた。

森山氏が金品を渡した理由について、第三者委員会は「氏が相談役を務めるなど関与する企業への受注の見返りだった」と認定。いわゆる「森山関連企業」に対して、入札を行わずに随意契約で高い価格で発注し、コンプライアンス違反によって得た不適切な利益が、関電役員らに渡った金品の原資となっていた。

「森山氏から『元請けにしてくれ』と頼まれ、1000万円の金が関電役員に渡ったケースもある」と但木委員長は説明した。

記者会見では、こうした金のやり取りを刑事告発しないのかとの質問が出たが、但木委員長は「正直言うと難しい。1000万円もらっても元請けにしていないケースもある。明確に『工事受注のお礼です』といった言い方ではなく、主旨を明らかにしていないケースもある」と述べた。加えて、森山氏が死去し、関係者の証言が直接得られないことも、刑事事件化のハードルを高くしているようだ。

 

筆者も記者会見に出席したが、注目したのは、第三者委員会の特別顧問、久保井一匡弁護士が指摘した「関電は自浄能力がなかった」という言葉だ。

報告書を見る限り、関電は確かに自浄能力がなく、特に上層部は腐りきっていた。森山氏が死去し、税務調査が入らなければ、この「不正」はずっと続いていたであろう。

自浄能力がなかったという点では、東京地検特捜部という国家権力の手を借りなければ、制御不能の「モンスター」と化したカルロス・ゴーン氏の不正を追及できなかった、日産自動車の事件と似ている。今回の関電の場合でも、会社の暗部を握る森山氏が「モンスター」となり、ゴーン氏と同様に関電自身では制御できなくなっていた。

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