コロナで世界経済激変…アベノミクスが振り出しに戻る「厳しい現実」

専制支配、老人支配、そして諸々延期…
河東 哲夫 プロフィール

ヴィールス騒ぎに乗じた専制主義支配の強化

「コロナ不況」にカネで立ち向かえない国の政府は、締め付けを強化する。

原油価格の暴落にも見舞われた石油依存国ロシアは、「プーチン=終身大統領」という殻に閉じこもろうとし、中国は人口500万の武漢市を閉め切る等の強権措置で対処した。日本では、中国での強い国家支配を羨む向きも多く、国家権力が強大化することをなんとも思わない、どころかむしろそれを待望する声も見られる。

それは個々人の趣味の問題なのだが、人間Aが自分の欲望を遂げるために国家権力を使って人間Bの権利を抑圧するというのはよくあることで、それは避けてもらいたい。

今回、安倍総理が新型インフルエンザ等対策特別措置法改正を実現していながら、この法が総理に授権している非常事態宣言に慎重な姿勢を示したのは、高く評価されてしかるべきなのである。

トランプ大統領が君臨する米国は、カネもふんだんに投入する構えを見せているが、「自由」、「民主主義」という言葉を口にすることのないトランプは、13日に宣言した「国家非常事態」を、これからどう政治的に悪用するかわかったものでない。

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1933年、ヒットラーが首相に任命されて間もなく、国会議事堂放火事件が起き(起こされ)、ヒットラーはこれを非常事態として市民権の多くを停止。野党政治家の多くを逮捕し、さらにその1カ月後には政府が立法権をも掌握して独裁体制を樹立している。

現代のトランプは、さすがにそこまではやらないだろうが、大規模な集会を禁止すれば、8月の民主党大会で対抗候補が選ばれるのを妨害することもできるのだ。

 

いや、それどころではない。米当局者は、コロナ問題の終息まであと18か月かかるかもしれない、と言い始めた。これは、大統領選を1年延期するための伏線ではないか。

米史上、前例はないが、トランプなら、保守系判事で固めた最高裁での支持を頼りに、断行しかねない。米国内では既に、トランプをこの点で牽制する論調が出始めている。

欧州でも、EU諸国間の国境が復活し、移動が暫時制限されている。21世紀にもなって、歴史は逆方向に回転し始めた。