「感染源は日本人」を親日国インドネシアの豹変と捉えてはいけない

それは本当に日本人への差別なのか
大塚 智彦 プロフィール

大使館で苦情受付、脆弱な在留日本人

在ジャカルタ日本大使館は、在留日本人へのコロナウイルスに関する差別や中傷などを受け付ける「日本人に対する悪質な嫌がらせ等の行為に関する在留邦人向け相談窓口」を3月7日までに設置し、これまでに10件以上の苦情や相談が寄せられているという。

その内容は「冷たい視線を感じた」という主観的なものから「乗車拒否された」「レストランへの入店を断られた」といった類のもの、それ以外にも「面会のアポをキャンセルされた」「エレベーター内で咳をしたら注目された」などという声が筆者のもとにも聞こえてくる。

〔PHOTO〕gettyimages

しかし考えて欲しい、本当にそれが日本人に対する差別や嫌がらせといえるのだろうか。感染に関する十分な医学的根拠に基づかない情報が独り歩きしているインドネシアで、そうした行為は差別感情に基づくものでなく「感染を恐れる自己防衛の策」と考えることはできないだろうか。

「冷たい視線」に至っては先方がこちらを果たして日本人と正しく認識した上でのものかどうかも不明だし、たまたま虫の居所が悪くそういう視線になっただけかもしれない。

今回のコロナウイルス騒動で日本人の不安や不満が日本大使館に寄せられているとの報道を聞いたインドネシア人女性が話していたという言葉が印象的だ。

「日本に行った時にイスラム教徒の女性が着用する頭巾を被っていたのでテロリストと言われたり、にらまれたりしたことがあった。しかし同じ体験をした知り合いのインドネシア人の誰一人として在東京インドネシア大使館に不安や不満を訴えることなどしなかった。自分たちで解決する問題であるし、日本人がそう思うこともある程度仕方ないと考え、お互いが理解するにはどうすればいいかを友達と話し合った」

 

「冷たい視線」だ「乗車拒否」だとすぐに大使館に救いを求めるなど、なんて脆弱なんだと、同じ国の旅券を所持する者としては思わざるを得ない。言い過ぎだろうか。